病気・ケア

パイナップルを犬に与えるときの注意点は?栄養素や犬種別の目安量を解説

甘くておいしいパイナップルは、栄養面でも多くのメリットがあります。食べているときに愛犬が寄ってきて、物欲しそうにしていると、ついあげたくなってしまいますね。しかし、人間と同じようにパイナップルを犬に与えても問題ないのでしょうか。

結論から言うと、パイナップルは犬が食べても良い食べ物です。
ただし、与え方によっては愛犬の体調を崩すおそれがあるため、事前に注意点を確認しておかなければなりません。

この記事では、パイナップルの栄養素や、犬に与える目安量、与えるときの注意点について解説していきます。

パイナップルの持つ栄養素とカロリー

一般的に市販されているパイナップルのカロリーは100gあたりおよそ54kcalです。
パイナップルは水分が非常に豊富で、さらに食物繊維・カリウム・ビタミンC・ビタミンB1・マンガンを多く含む食材です。

各栄養素の含有量と期待される効果

パイナップル100gに含まれる主な栄養素と含有量は以下の通りです。

栄養成分含有量(パイナップル/生 100gあたり)
水分約85g
食物繊維約1g
カリウム約150mg
ビタミンC約27mg
ビタミンB1約0.1mg
マンガン約1.3mg

※参照:文部科学省│食品成分データベース(果実類/パインアップル/生)

パイナップルは水分含有量が非常に豊富であるため、水分補給として活用可能ですが、その分果糖の摂取過多には十分な注意が必要です。

それぞれの栄養素の特徴と効果を確認していきましょう。

食物繊維

炭水化物は、糖質と食物繊維で構成されています。
さらに食物繊維は、可溶性食物繊維(水に溶ける)と不溶性食物繊維(水に溶けない)に分けられます。

パイナップルに含まれる食物繊維は、不溶性食物繊維です。
体内で溶けないため、水分を含みながら大腸へと移動します。
その結果、糞便量が増えるとともに便が出やすくなるのです。

また、不溶性食物繊維は、いわゆるプレバイオティクスの役割を果たします。
プレバイオティクスとは、大腸内の特定の細菌の増殖および活性を選択的に変化させることより、宿主に有利な影響を与え、宿主の健康を改善する難消化性食品成分です。

プレバイオティクスの機能性については、以下が報告されています。

・整腸作用(便通改善)
・抗脂血作用
・インスリン抵抗性の改善
・ミネラル吸収促進作用
・尿中窒素低減作用
・大腸がん・炎症性腸疾患の予防・改善
・アレルギー抑制作用
・腸管免疫の増強 など

カリウム

カリウムは生体に必要なミネラル成分の一つです。
生体の恒常性を保つうえで非常に重要な栄養素であり、神経伝達や心筋の刺激伝導系・筋肉の収縮・血液のpHを維持する作用があります。

生体内ではそのほとんどが細胞内に貯蓄されており、血液中のカリウム濃度は比較的厳密に維持されています。食欲不振などにより体内のカリウムが不足(低カリウム血症)してしまうと、疲れやすくなったり、不整脈が生じたりします。

逆にカリウムが過剰(高カリウム血症)となってしまうと、最悪の場合、不整脈で命を落としてしまいます。

低カリウム血症は重篤化することはあまりありませんが、高カリウム血症は早期の治療が必要な病態です。ただし、一般的には食べすぎによる高カリウム血症は生じないため、安心してください。

ビタミンC

ビタミンCは、アスコルビン酸としても知られる水様性ビタミンの一つです。
抗酸化作用を有しており、体内で産生されたフリーラジカルから細胞を守ってくれます。

ビタミンCが体内で枯渇すると、壊血病という出血性疾患となるおそれがあります。一方で、摂取過多では嘔吐や下痢を引き起こします。しかし、いずれもかなりまれであるため、犬の場合は基本的には心配ありません。

ビタミンB1

ビタミンB1も水様性ビタミンであり、糖質をエネルギーに変換する際に不可欠な栄養素です。

人間の研究では、ビタミンB1が不足すると、けだるさや脚気、ウェルニッケ・コルサコフ症候群(中枢神経が侵される障害)になることが明らかとなっています。重篤な状態になると、死亡するケースもあるそうです。

なお獣医療では、ビタミンB1低下症および過剰症についての報告はありません。

マンガン

マンガンも上記の栄養素同様に、体内の恒常性を保つうえで必要不可欠な物質です。
生体内にて、抗酸化作用・神経伝達・骨のミネラル沈着・その他さまざまな組織の代謝に関与しています。

不足すると骨格異常や高血糖などが、過剰になると中枢神経障害が認めれらるようになります。

動物でも同じ症状があらわれる危険性がありますが、サプリで過剰に添加したり、妊娠中の母犬の栄養が極端に偏ったりしているなどがない限りは、遭遇することはきわめてまれでしょう。

犬に与えてよいパイナップル量の目安

パイナップルは栄養価が高い食べ物ですが、愛犬に与えても良いパイナップルの量はどの程度なのでしょうか。

パイナップルをおやつとして与える際には、一日の適正摂取カロリーの10%未満にすべきと言われています。

摂取カロリー(RER・DER)については、こちらの記事を参考にしてください。
愛犬のフードをうまく切り替える方法と、切り替えるべきタイミング

各犬種の目安体重から概算した10%にあたるパイナップルの量を表にまとめました。
パイナップルの切り方によるカロリーについては以下サイトを参考にしています。
パイナップル – カロリー/栄養成分/計算 | カロリーSlism

犬種目安体重(kg)RER(kcal)10%RER(kcal)推奨量
トイプードル1.8~2.7109~14710.9~14.7>21~29g
(角切り3片以下)
チワワ1~370~1607~16>14~32g
(角切り2~3片以下)
MIX犬>10>393>39.3>80g
(1/8cut1本以下)
柴犬10.3540440.4>80g
(1/8cut1本以下)
ミニチュア
ダックスフント
>4.95>232>23.2>46g
(角切り5片以下)

犬種と体重

一日の適性摂取カロリーを確認するためには、愛犬の適性体重を把握しておく必要があります。日本で人気の犬種の目安体重についてみていきましょう。

ジャパンケネルクラブでは、さまざまな犬種に厳密な規定がされてあります。
また、大まかな犬種と体重の指標となるデータは、アメリカンケネルクラブのサイトから引用しています。以下では、1pound≒0.45kgとして概算しました。

プードル

プードルはフランス原産の犬種で、体高(起立位にて足先から背中まで)により小さい順に、トイ・ミニチュア・ミディアム・スタンダードと分かれています。
元来は鳥猟犬種として飼育されており、高い忠誠心や学習能力・訓練能力が特徴的です。

トイプードルは、アニコム損害保険株式会社が2008年より毎年行っている人気ランキングで、堂々の13年連続1位の犬種です。

獣医師目線から言うと、トイプードルは確かに高い身体能力を持ちますが、骨関節疾患の多い犬種である印象が強いです。しかし、性格は比較的社交的であり、人気の理由もうなずけるでしょう。

プードルの目安体重は以下の通りです。

種別目安体重(kg)
トイプードル1.8~2.7
ミニチュアプードル4.5~6.75
ミディアムプードル記載なし
スタンダードプードル27~31.5

チワワ

チワワは第2位の人気犬種です。
原産国はメキシコであり、名前はメキシコ最大の州である「チワワ州」からとられました。
性格は、注意深く勇敢であるとされていますが、実際には怖がりで運動器疾患を抱える子が多い印象です。

チワワは世界最小の犬種であり、目安体重は1~3kgです。

MIX犬

近年、上位2種を追い抜くほどの勢いでMIX犬が増えてきました
とくに、トイプードルやミニチュアダックスフント・チワワなどの小型犬同士の掛け合わせによる犬種が人気です。

私もミニチュアダックスフントを飼育していたため、次はチワックスやペキックスといった子を飼育したいと密かに考えています。

話が逸れましたが、現在飼育頭数が伸びているMIX犬は、体重が10kg未満です。
MIX犬の体重指標はないため、BCS(body condition score)をもとに体重管理をしましょう。

柴犬

第4位には、和犬である柴犬がランクインしています。

小動物や鳥猟を行う日本原産犬種でしたが、1868年から1926年にかけて外国の犬種との交雑種が一気に増加し、純粋な柴犬は少なくなってしまいました。
そのような背景から、1934年に一般社団法人日本犬保存協会により繁殖のスタンダードが制定され、さらに1936年には国の天然記念物に指定されました。

性格は、飼い主に忠実であるとともに、感覚機敏で警戒心の強い子が多いでしょう。
動物病院が大好きな柴犬は、本当に珍しいという印象があります。

現在いわゆる豆柴は、ジャパンケネルクラブでは公認されていないため、ここでは公認されている柴犬(体高38~41cm)の目安体重を記載します。
上記の体高に当てはまらない場合には、BCSを参考に体重を管理しましょう。

柴犬の目安体重は、10.35kgです。

ミニチュアダックスフント

第5位にランクインしたのはミニチュアダックスフントです。

本犬種は、ドイツ原産で地下での狩猟犬として繁殖が行われてきました。
落ち着いた性格で、極端に怖がりであったり攻撃的であったりする子は少ない印象です。

また、ダックスフントは胸囲のサイズにより小さい順に、カニーンヘン・ミニチュア・スタンダードに分かれています。
さらに、被毛がスムースヘアード・ワイヤーヘアード・ロングヘアードに分かれるため、サイズも考慮すると9種類のバラエティに富む犬種です。

ダックスフントの目安体重は以下の通りです。

種別目安体重(kg)
カニーンヘンダックスフント記載なし
ミニチュアダックスフント4.95以下
スタンダードダックスフント7.2~14.4

犬にパイナップルを与える際の注意点

パイナップルを初めて与える際には、愛犬の様子をよく観察しましょう。

与えてから数日以内に下痢や嘔吐を引き起こした場合には、量の調節が必要です。

なお、芯や皮・葉は与えないよう注意してください。
とくに大きな芯は消化管閉塞を引き起こし、最悪の場合、死に至ります。
可食部を与える際にも、細かく切ってあげましょう。

缶詰のパイナップルは砂糖が非常に多く使われているため、与えないようにしてください。

犬にパイナップルを与えてはいけないケースとは

パイナップルは、ブロメラインというタンパク分解酵素が多く含まれる果物です。
ブロメラインは抗炎症作用を有しており、体に良いとされています。

しかし、ブロメラインは小麦とのアレルギー交差反応が指摘されています。そのため、小麦アレルギーの子には与えないようにしてください。

まとめ

甘くて栄養素の高いパイナップルは、犬にとってもおいしい食べ物です。ただし、与えすぎやアレルギーには要注意です。

普段のご褒美や、少し分け与える程度であれば問題はありませんので、大きさや部位に注意しながら、愛犬と一緒においしさを楽しみましょう。

いかがでしたでしょうか。
この記事を通して、みなさんが幸せな愛犬ライフを送れることを切に祈っております。

参考:
文部科学省│食品成分データベース(果実類/パインアップル/生)
食品分析開発センターSUNATEC│糖質と食物繊維について
公益財団法人 腸内細菌学会│用語集 プレバイオティクス
厚生労働省 『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』eJIM│ビタミンC

ABOUT ME
今井 貴昌
日本獣医生命科学大学卒。地方の動物病院と都内のグループ動物病院で数年間の勤務を経て、母校の臨床研修医として研鑽を積む。獣医師として社会に貢献するため日々奮闘中。