病気・ケア

犬にブロッコリーを与えるメリットは?栄養素や犬種別の目安量・与える際の注意点

豊富な食物繊維やビタミンを含むブロッコリーは、ダイエットや健康維持に欠かせない食材です。
では、人間と同じように、わんちゃんもブロッコリーを食べられるのでしょうか。
また、わんちゃんにとってはどのような効果が期待できるのでしょうか。
今回は、わんちゃんにブロッコリーを与える健康上のメリットや目安量・与える際の注意点について解説していきます。

わんちゃんはブロッコリーを食べられる

人間が食べられるものが、わんちゃんも同じように食べられるとは限りません。
食材のなかには、わんちゃんにとって毒性を示すものや、害を与えるものもあるため注意が必要です。
では、ブロッコリーはどうでしょうか。

結論からいうと、わんちゃんもブロッコリーを食べることができます。
しかし、胃腸の消化機能や、体の大きさが人間とは異なるため、人間とまったく同じ与え方をすると、消化機能に負担がかかり健康を害してしまう危険性があります。
そのため、量や与え方に配慮して与える必要があるでしょう。

ブロッコリーを食べるとこんなメリットが!

ブロッコリーは体によい栄養素を豊富に含んでおり、人間だけではなくわんちゃんの体にもよい影響を与えるとされています。
ブロッコリーの主な栄養成分について見ていきましょう。

葉酸

ビタミンB9とも呼ばれる水溶性のビタミンです。

葉酸はDNAの合成に関与していて、とくに胎児のような分裂の活発な時期に必要な栄養素といえるでしょう。

お母さんの体から胎児へと移行する栄養素であるため、妊娠中のわんちゃんたちには欠かせない栄養素です。
赤ちゃんの組織が形成される際に消費されるため、欠乏してしまわないよう充分に摂取する必要があります。

体内でも腸内細菌によって葉酸は産生されていると言われていますが、その量では不充分なため、ごはんからの摂取が必要です。
また、神経組織の発達などにも関与しており、健康維持に不可欠な栄養素だといえるでしょう。

ビタミンK

ビタミンKは脂溶性のビタミンです。
酵素の活動を手助けする役割を担っています。
また血液凝固の過程でも、ビタミンKが活躍する場面があります。

ビタミンKは、体内で腸内細菌によって生成されるものの、生活に必要な量には不充分であることが多く、食物からの摂取が必要です。
欠乏すると、血液凝固が上手く行なわれなくなる危険性が高まります。

ビタミンE

ビタミンEは成分の総称であり、トコフェロールという成分がその一つに含まれています。
ストレスや加齢によって受ける酸化ダメージから細胞を守る「抗酸化作用」がとくに強いとされています。

ビタミンKが欠乏すると、免疫系の異常や筋力の低下などの健康トラブルが起こるおそれがあります。
ただし、過剰摂取によっても体に害を与える危険性があるため、摂取量には注意が必要です。

ビタミンC

ビタミンCは、アスコルビン酸とも呼ばれる水溶性のビタミンです。
健康なわんちゃんでは、体内での生成が可能となります。

しかし、加齢やストレスなどによる細胞へのダメージを防ぐ抗酸化作用や、鉄の代謝に関与するため、充分な量のビタミンCが必要といえるでしょう。
より健康な体でいるために、食べ物から摂取できると安心です。

わんちゃんに与えるブロッコリーの目安量

いくら健康によい栄養素を含んでいるとはいえ、あげすぎはおすすめできません。

わんちゃんの体に適する量を与えるようにしましょう。

栄養学的には、1日の総合摂取カロリーの10%程度であれば与えてもよいとされていますが、1食で食べられる量や他の栄養素で摂るべきものとの兼ね合いを考えると、さらに少なくする必要があります。
1日のブロッコリーの目安量を体格別でまとめました。

体格目安量
小型犬(~10kg)~30gくらい
中型犬(10~25kg)50~80gくらい
大型犬(25kg~)90g~100gくらい

この量はあくまで目安であり、消化機能によっても適した量は変わってきます。
ブロッコリーを与えた後は、食欲の変化や排泄の状態などをよく観察して、量を調整したり、与えるのを控えたりしてください。

ブロッコリーに含まれる成分のことを考えると、少量にとどめるほうが安心でしょう。
ブロッコリーを含む手作りの食事で必要な栄養素を完全に補うのは難しいケースが多いです。
基本的な栄養の摂取は総合栄養食であるドッグフードをメインにして、トッピングやたまに食べるごちそうとして、ブロッコリーのようなお野菜やお肉をあげるのがおすすめです。

ブロッコリーの正しい与え方

ブロッコリーをわんちゃんにあげる際には、量だけではなく、与え方にも工夫が必要です。与え方を誤ると、健康を害してしまう危険性があります。
わんちゃんの体の機能を理解したうえで、以下のようなポイントに注意しながら与えましょう。

穂先のやわらかい部分を与える

ブロッコリーは食物繊維を多く含みます。
一方で、わんちゃんは草食動物ではないため、過剰に食物繊維を摂取すると消化器に負担がかかり、便の状態が悪くなることもあります。

そのため、やわらかく消化しやすいブロッコリーの穂先を与えるようにしましょう。
穂先のやわらかい部分のみを、より消化しやすいように細かく刻んで与えるのがおすすめです。

なお、芯の部分は硬く、わんちゃんの消化機能では消化が困難です。
体に大きなダメージを与えてしまう危険性があるため避けてください。

加熱をしてから与える

穂先の部分を細かく刻むことに加えて、さらに消化しやすいように、加熱して与えるのがおすすめです。
ブロッコリーはカリウムやシュウ酸と呼ばれる結石の原因となる成分を多く含み、加熱してこれらの成分の量を落としたほうがよいという説もあります。

ただし、ゆでる方法だと他の栄養分までお湯に溶け出てしまう可能性もあるため、蒸す調理方法や、湯がいたお湯もスープとして一緒に食べるなどの工夫も試してみてください。
栄養素が無駄なく摂取でき、おうちのわんちゃんが好んでくれる方法を見つけましょう。

なお、人間はマヨネーズなど味を付けてブロッコリーを食べますが、味付けをするとわんちゃんにとって塩分や脂肪分が過剰になってしまうおそれがあります。
わんちゃん用に、味付けなしの調理をしてあげたほうが健康的です。

ブロッコリーによるトラブルを防ぐために

量や与え方を守っていても、その子の体質に適さず、健康を害する場合もあるため注意が必要です。
ブロッコリーによる健康トラブルが起きないように、飼い主さんは以下のようなことに注意しましょう。

便の調子や体調を観察する

消化機能は個体差があり、豊富な食物繊維を含むブロッコリーは、消化機能の低いわんちゃんにとっては大きな負担となる場合があります。

わんちゃんの負担になっていないかを知るバロメーターの一つが便の状態です。

便がいつもよりもやわらかかったり、悪臭がしたりする場合は、おうちのわんちゃんの消化器に負担をかけてしまっているかもしれません。
与える量を少なくする、または与えるのを控えたほうがよいでしょう。

また、与えてから食欲が低下したり、げっぷをしたりする場合も、消化器への負担をあらわしている可能性があります。
注意深く観察するようにしましょう。

さらに、消化器の負担と合わせて気を付けるべきなのがアレルギーです。
ブロッコリー自体のアレルギーを調べることはあまりないかもしれませんが、アレルギーには交差性と呼ばれる反応があります。
交差性とは、近い種類に属する植物同士だと、似たようにアレルギーを示すことです。

ブロッコリーはアブラナ科に属しますが、アブラナ科の植物にアレルギー反応を示す傾向がある子は、同様にブロッコリーでもアレルギー反応を起こす危険性があるため注意してください。

おうちのわんちゃんに与えても問題ないかを確認する

ブロッコリーで気を付けなければならない成分は主に二つあります。

「シュウ酸」と「グルコシノレート」という成分です。
シュウ酸は尿結石の種類の一つであるシュウ酸カルシウムの元になる成分です。
ストルバイトの治療歴がある子や、膀胱炎を頻発する子など、膀胱環境や尿の状態のコントロールが難しい子に与えるのはおすすめできません。

また、グルコシノレートは腸内細菌によってゴイトリン(ゴイトロゲン)という成分に変換されます。
この成分は、甲状腺ホルモンを生成するのに必要なヨウ素の吸収を阻害すると言われています。
甲状腺機能低下症を患っている子には与えないようにしましょう。

明確な治療をしている子たち以外でも、体の状態によっては与えないほうがよいケースもあります。
心配な場合は、事前にかかりつけの先生に、与えても問題がないかを確認してください。

まとめ

健康維持に欠かせない豊富な栄養素を多く含むブロッコリーですが、わんちゃんの体の大きさは人間よりも小さいため、ブロッコリーを使った手作りのごはんのみで、栄養を完全に補給することは難しいといえるでしょう。

しかし、飼い主さんとわんちゃんが同じようなものを一緒に食べることで、絆が芽生え、双方が幸せな気持ちを感じられるかもしれません。

おうちのわんちゃんの体質や健康状態・注意点を把握し、正しい方法で与えましょう。
飼い主さんとわんちゃんの絆がより深まる“食”の楽しみが実現すると思います。

ABOUT ME
葛野 莉奈
麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。
獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。
開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。
皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、得意分野とさせていただいています。