執筆者:原 京子
動物看護士、ペットショップでの生態管理、動物園飼育スタッフなどを経験 ...プロフィールをもっと見る
これから犬をお迎えする飼い主さんにとって、避けて通れないのがトイレトレーニングです。正しい方法で行えば愛犬は必ず覚えてくれるものですが、「いつからはじめたらいいの?」「早く覚えさせるためのポイントは?」など、わからないことも多いのではないでしょうか。そこで本記事では、犬のトイレトレーニングのコツや具体的なステップ・注意点などについて詳しくまとめました。
トイレトレーニングはいつからはじめる?
トイレトレーニングは、犬を迎えたその日からはじめます。
お迎えしてから数日間は、そっとしておいたほうがよいのですが、トイレに関しては別です。
たとえ数日間であっても、「好きな場所でトイレをしてよい」と覚えてしまうと習慣になり、その後のトレーニングに苦労してしまいます。
子犬であっても成犬であっても、トイレトレーニングはお迎えした日からはじめましょう。
トイレトレーニングの期間
子犬の場合、トイレトレーニングにかかる期間は約1カ月とされています。
しかし、個体差や環境の違いによって、1週間で覚える子や、覚えるまで1月以上かかる子までさまざまです。
どんなに時間がかかっても、飼い主さんが諦めずにトイレトレーニングを行えば、愛犬は必ずトイレを覚えてくれます。
最終目標は「ペットシーツ」の上で排泄すること
トイレトレーニングの最終目標は、「ペットシーツ」の上でトイレができるようになることです。「場所」や「外」で排泄ができるようになることではありません。
場所や外を基準にトイレを覚えてしまうと、外出の際や、散歩に行けなかった場合、犬は我慢をしたり粗相をしたりしてしまいます。
長時間排泄を我慢することは、膀胱炎などのリスクが高まり良くありません。
ペットシーツの上での排泄を覚えることで、ペットシーツさえあれば、場所や天候に左右されることなくトイレができます。
トイレトレーニングの方法
愛犬がペットシーツの上で排泄ができるようにするためには、飼い主さんの正しいトイレトレーニングが必要です。
まずは、トイレトレーニングに必要な以下のグッズを用意しましょう。
- サークル
- ペットシーツ(少し大きいサイズ)
- 犬用の消臭スプレー
- 掃除グッズ
子犬は排泄前に良く動くため、ペットシーツは少し大きめのものがおすすめです。
1.広めのサークル内でトレーニングを行う
トイレトレーニングは、基本的にサークルの中で行います。
サークルの中であれば、犬の行動範囲が限られるため、飼い主さんの目が届きやすいためです。
使用するサークルは、食事場や寝床も置けるよう、ゆとりのあるサイズを選びましょう。
屋根付きのケージでも構いませんが、サークルの方が中の様子を確認しやすい・掃除がしやすいというメリットがあります。
2.サークル内にペットシーツを敷き詰める
サークル内の床面全体にペットシーツを敷き詰めます。
これで、サークル内のどこでトイレをしても、失敗することがありません。
3.シーツの上で排泄ができたら褒める
ペットシーツの上でトイレをしたら直ぐに褒め、場合によってはおやつをあげても構いません。
ここでは、「ペットシーツの上でトイレができたら褒めてもらえる」と学習させます。
褒める際は、必ず排泄直後に行うこと・少し大げさに撫でる・声かけすることがポイントです。
4.1から3を繰り返し、徐々に排泄をしない場所のシートを撤去していく
この方法を繰り返していくと、頻繁に排泄をする場所としない場所が出てきます。
排泄をしない場所にあるペットシーツを徐々に取り除き、トイレの場所を絞っていきます。
5.シーツを1枚にして、ペットシーツの上で排泄をすることを覚えさせる
最終的に、ペットシーツが1枚になるまで減らします。
失敗が続くようなら枚数を増やし、様子を見てまた減らします。
ペットシーツ1枚で排泄ができるようになれば、ペットシーツの上でトイレをすることが学習できた証拠です。
6.最終的にトイレを置きたい場所に少しずつシートをずらしていく
ペットシーツ1枚で排泄ができるようになったら、今度は最終的にトイレを設置したい場所に、少しずつペットシーツを移動していきます。
7.トイレで排泄ができるようになれば完了
トイレを置きたい場所にペットシーツを設置して、失敗なくできるようになったら、トイレトレーニングは完了です。
基本的に愛犬は一度覚えたことは忘れないため、これから先はトイレで排泄をしてくれるようになるはずです。
トイレトレーニングのコツ
トイレトレーニングを行う際には、成功率を高めるためのコツがいくつか存在します。
- 排泄サインを見逃さない
- 排泄しやすい時間帯を把握する
- トレーニング期間は誰かが側にいる
- トイレを置く場所も大事
- いつまでも抱っこをして連れて行かない
- どうしても覚えない場合はプロの指導を受ける
この6つのコツは、愛犬がストレスなくトイレトレーニングを成功させるために、
飼い主さんが知っておきたい項目です。
排泄前の仕草を見逃さない
犬は、排泄をする前に特定の行動をすることが多いため、排泄のサインとしてトレーニングに活用できます。
- 床の臭いをかぐ
- 同じ場所をぐるぐる回る
- 落ち着きがなくうろうろする
このような仕草が見られたら、排泄をする可能性が高いため、ペットシーツの上に移動させたり、ペットシーツの上にいる場合は様子を観察したりして、うまくできたら直ぐに褒めてあげましょう。
排泄しやすいタイミングを把握する
犬には、排泄をしやすいタイミングがあります。
このタイミングを把握しておくことで、ある程度排泄の時間を予測できます。
- 寝起き
- 食後
- 遊んだ後
これらのタイミングは排泄をしやすいため、ペットシーツの上に連れて行くと、成功率が高まるでしょう。
また、愛犬が排泄をした時間帯や場所をメモしておくと、大体のタイミングが掴めるようになるためおすすめです。
トレーニング期間は誰かが側にいる
トイレトレーニングは、ペットシーツ上で排泄をしたら「直ぐに褒める」ことが大切です。
日中留守にして、夜だけトレーニングをするなど、褒められるときと褒められないときがあっては、愛犬も混乱してしまいます。
トイレトレーニング期間(約1カ月間)は、なるべく誰かが側にいて、トイレを見守れる環境を作ることも大切です。
「抱っこ」をするのは最初だけ
トイレトレーニング中は、トイレの時間になったら抱っこをしてペットシーツ上に連れていく方も多いかと思います。
この方法は間違いではありませんが、いつまでも抱っこをして連れていくと、犬は自分からトイレに行こうという意識が薄れてしまいます。
「トイレがしたくなったら、飼い主さんが抱っこをして連れて行ってくれる」と学習してしまうと、いつまでも一人でトイレに行くことができません。
徐々に飼い主さんが愛犬をトイレに誘導するなどして、自発的にトイレに行けるように工夫をすることも大切です。
トイレを置く場所も大事
トイレを置く場所は、あまり人目のない静かな場所が理想です。
ただし、トイレトレーニング中は、人目のつかない場所は不向きです。テレビのそばや部屋の中央、ドアや窓のそばを避けてサークルを置くようにしましょう。
また、同じサークル内であっても、愛犬は寝床や食事場の側でトイレをするのは嫌がる傾向があるため、離れた位置にトイレを設置するのもポイントです。最終的には、人目のない静かな環境にトイレを設置できるようにしましょう。
どうしても覚えない場合はプロの指導を受ける
成犬のトイレトレーニングの場合や、どうしてもトレーニングがうまくいかないときは、プロの指導を受ける方法もあります。
ペットショップや動物病院などで、トイレトレーニングの講習をしていたり、ドッグトレーやパピートレーナーが指導を行ったりしていることがあります。
トイレトレーニングの注意点
トイレトレーニングがなかなかうまくいかない場合、間違った方法で行っている可能性があります。
間違ったトイレトレーニングの方法としては、
- 失敗したら叱っている
- 失敗した場所に臭いが残っている
- トイレを済ませるまでサークルから出さない
などが挙げられます。
これらの方法をとっていると、犬はトイレを覚えることが難しくなります。
ここでは、なぜこれらの方法がトイレトレーニングの失敗につながるのかを説明します。
失敗しても叱らない
トイレトレーニングの最中は、失敗しても絶対に叱ってはいけません。
犬は「過去」のことを叱られても理解することができません。
そのため、トイレを失敗した際に起こっても、失敗したことではなく「排泄したこと」に対して怒られていると勘違いしてしまいます。
結果、排泄を我慢するようになり、膀胱炎などの病気にかかるリスクが高まります。
失敗した場所に臭いを残さない
トイレに失敗した場所に臭いが残っていると、排泄を誘発してしまう可能性があります。
失敗した場所は排泄物を除去するだけでなく、臭いまでしっかり消すことが大切です。
また、カーペットやマットレスなど臭いを吸収しやすい素材のものは置かないようにしましょう。
臭いを残さないためには、ペット用の消臭スプレーの使用がおすすめです。
人間用の消臭剤には、犬が舐めると有毒な物質が含まれている商品もあるため、必ずペット用を使用してください。
トイレをするまでサークルから出さない
遊ぶ時間であっても、「トイレをするまでサークルから出さない」といったルールを設けている方もいるでしょう。
しかし、トイレをしたくないのに、ずっとサークルから出してもらえないことは、犬にとってストレスとなり、サークル自体を嫌な場所だと思い込んでしまいがちです。その結果、トイレトレーニングの失敗に繋がりやすくなります。
トイレをする素振りがなければ、一旦サークルから出して遊ばせてあげましょう。
まとめ
- トイレトイレーニングはお迎えした初日から始める
- ペットシーツの上で排泄をすることを覚えさせる
- トイレトレーニングはサークル内で行うのがベスト
- 排泄前の仕草や排泄しやすい時間帯を見逃さないことが大事
- 失敗しても叱ってはいけない
犬のトイレトレーニングは、犬をお迎えして最初に行うトレーニングです。
犬はトイレを教えないと、覚えることはできません。
子犬だからといってトレーニングを怠ると、成犬になってから困ってしまいますので、正しい方法で進めていきましょう。

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