執筆者:原 京子
動物看護士、ペットショップでの生態管理、動物園飼育スタッフなどを経験 ...プロフィールをもっと見る
ドライフードとウェットフードの違い
ドライフードとウェットフードの大きな違いは、水分量です。
ドライフードに含まれる水分量は10%以下なのに対して、ウェットフードに含まれる水分量は70~80%と、かなり多いことが違いです。
ドライフードの特徴
ドライフードの主な特徴は、以下の通りです。
- 水分量が10%以下と少ない
- 開封後も保存がきく
- ウェットフードより基本的に価格が安い
- 商品のバリエーションが豊富
カリカリとした食感は、食べ応えがあり、あごの強化につながるほか、商品のバリエーションが豊富なので、好みのフードを見つけやすいなどの特徴があります。
ウェットフードの特徴
ウェットフードの主な特徴は、以下の通りです。
- 水分量が70~80%と多め
- 開封前は保存期間が長い
- 食欲がない場合でも食べてくれやすい
- 水分補給も同時にできる
ウェットフードは柔らかく、香りが強い、肉や魚がそのままの形状で入っているなど、嗜好性が高い傾向にあります。
また、開封前であれば保存期間が長いため、保存食にも適しています。
ペットフードは4種類ある
ペットフードは、大きく分けて以下の4種類に分類されます。
- 総合栄養食
- 間食
- 療法食
- その他の目的食
それぞれの特徴は、以下の通りです。
総合栄養食
総合栄養食とは、総合栄養食と水のみで必要な栄養素を補うことのできる商品です。
栄養バランスや健康が裏付けられているものに限り、パッケージには総合栄養食と記載することができます。
毎日与える基本のフードには、必ず「総合栄養食」を選ぶようにしましょう。
間食
間食とは、その名の通りおやつのことです。
ガムやジャーキー、ペット用ビスケットなどが該当します。
必ず与える必要はないもので、ごほうびやおやつとして適量を与えましょう。
療法食
療法食とは、栄養成分の量や比率を調整又は特別な方法で製造され、食事療法において獣医師の診断・指導の元に与えるフードのことです。
療法食は、必ず獣医師の指示に従い与えるものです。
素人判断で、勝手に中断や変更をすることは好ましくありません。
療法食には、尿石、皮膚、関節、心臓、腎臓、肝臓、消化器、糖尿、肥満、口腔管理、栄養・成長など目的別に、様々な種類が販売されています。
その他の目的食
その他の目的食とは、ペット用のふりかけやサプリメント、ドリンク、スープなどです。
嗜好性を高める効果や、各主症状の予防や緩和、備蓄品などに使用されます。
「プレミアムフード」とは?
プレミアムフードと通常の総合栄養食の違いは、品質の差です。
現在ペットは「家族化」「高齢化」「健康志向」がトレンドとなっており、それに伴い栄養面や安全面に配慮して作られているのが、プレミアムフードです。
プレミアムフードには、以下のような特徴があります。
- 主原料には良質な肉、魚を使用している
- アレルギー対策として原材料の種類を限定している
- 原材料の使用量、種類、産地、生産工場を明確に記載している
- 穀物不使用、または最小限に抑えている
- 人口添加物無添加
- 犬種や年齢に合わせた栄養素が添加されている
- 価格が高め
プレミアムフードには、上記のような特徴があるものの、定められた明確な基準はありません。
そのため、どんなに低品質なフードでも、メーカー側はプレミアムフードと名乗ることができてしまいます。
製造方法の違い
ドライフードとウェットフードでは、製造方法も異なります。
ここでは、それぞれの製造方法を簡単に紹介します。
ドライフード
- 穀物や肉類などを混ぜ合わせる
- 固形化するために添加物を加える
- 押出機に材料を詰め込む
- 押し出す過程で加熱処理して、細かい粒にカットする
- 乾燥処理をした後、冷却する
- 脂肪分などを添加する
- 密閉する
ウェットフード
- 原材料を細かく粉砕する
- 原型が崩れない程度に加熱する
- 100g前後の缶詰に高温で入れたあと、急速に冷却することで疑似的なし真空状態を作る
- レトルト処理により殺菌する
ドライフードのメリットデメリット
カリカリのドライフードには、どのようなメリットデメリットがあるのでしょう。
ドライフードのメリットとデメリットは、以下の通りです。
ドライフードのメリット
- カビが発生しにくく、開封後も痛みや劣化が遅い
- 少量で必要な栄養素を効率よく摂取できる
- 1粒に栄養が凝縮されているので、与える量が少なく経済的
- バリエーションが豊富で、原材料や年齢別、犬種別、目的別(ダイエット、毛玉ケア)など用途や好みに合わせたフードが選べる
- 適度に硬さがあるので食べ応えがあり、あごの強化にもなる
ドライフードのデメリット
- 水分量が少ないため、別途しっかりと水分補給が必要
- ウェットタイプに比べ嗜好性が低い
- 硬さがあるためあごの力が弱い場合に食べにくい
ドライフードは、少ない量でしっかりと栄養が摂れることや、バリエーションが豊富であることなどがメリットです。
デメリットとしては、別途水分補給が必要なことや、ウェットフードに比べ嗜好性が低いことなどが挙げられます。
ドライフードがおすすめの場合
ドライフードは、以下のような場合におすすめです。
- コスパを抑えたい
- 少ない量でしっかり栄養を摂りたい
- 年齢や犬種、体質に合ったフードを与えたい
ドライフードは、ウェットフードに比べて1日の給餌量が少なくて済むため、排便の管理が楽になります。
また、多頭飼いなど食事のコスパを抑えたい方にも、ドライフードがおすすめです。
ドライフードは、目的別の商品展開も豊富なので、年齢や犬種、体質に合ったフードを与えたいという場合にも適しています。
ウェットフードのメリットデメリット
缶詰やパウチなどのウェットフードには、どのようなメリットデメリットがあるのでしょう。
ウェットフードのメリットとデメリットは、以下の通りです。
ウェットフードのメリット
- 嗜好性が高い
- 食事とともに水分補給ができる
- 柔らかいため、噛む力が弱くても食べられる
- 食欲がない場合でも食べてくれやすい
- 未開封であれば長期保管が可能
ウェットフードのデメリット
- 開封後は保存期間が短い
- ドライフードの約3倍の量を与える必要がある
- ドライフードに比べ商品価格が高い
ウェットフードは、開封前まであれば保存期間が長いため、保存食としても役立ちます。
また、水分量が多いので、食事と一緒に水分補給ができるほか、嗜好性が高いことも特徴です。
しかし、ドライフードに比べ1日の給餌量が約3倍も必要なことや、商品価格が高いため、コスパが悪いことなどが欠点です。
ウェットフードは歯石がつきやすい?
ウェットフードは、ドライフードに比べて歯石が付きやすくおすすめできないと耳にすることがあります。
確かに、ドライフードの方が乾燥している状態ですので、ウェットフードに比べると歯に汚れが残りにくいかもしれません。
しかし、だからといってドライフードのみを与えていれば、歯磨きが必要ないというわけではありません。
ドライフードのみ与えていても歯石はつくので、フードの種類に関係なく、毎日の口腔ケアは欠かせません。
ウェットフードがおすすめの場合
- 飲水量が少ない
- 水分補給が必要
- 食欲がない
- 噛む力が弱い
ウェットフードは、水分量が多いため、水分補給が必要な際に適しています。
また、嗜好性が高いため、食欲低下時や、噛む力が弱い場合にもおすすめです。
ウェットフードは、未開封であれば保存期間が長いため、災害時などの備蓄としても役立ちます。
原材料や成分を確認して選ぶことも大切
ドライフードやウェットフードを特徴から選ぶことも大切ですが、どちらも原材料や成分をしっかり確認することを忘れてはいけません。
購入前に確認したい項目は、以下の通りです。
- 主原料は肉、魚である
- 穀物(トウモロコシ、小麦、米)の使用がない
- 人口添加物無添加である
- ヒューマングレードであれば安心
犬や猫は、多くの動物性たんぱく質を必要とします。
なかには、トウモロコシや穀類などと記載のある穀物を主原料に使用しているフードも販売されていますが、主原料にはチキンやまぐろといった肉、魚を使用している商品を選びましょう。
犬や猫にとって穀物は、消化に適さない食材です。
特にトウモロコシや小麦、米の使用がないグレインフリーを選ぶと安心です。
特に安価な商品には、香料やフレーバー、着色剤、肉副産物、強い防腐剤や酸化防止剤などといった、人口添加物の使用が目立ちます。
人口添加物は、アレルギーや涙やけなどの原因につながることがあるため、人口添加物無添加の商品を選ぶようにしましょう。
また、人間でも食べることできる品質の素材を使用している「ヒューマングレード」であれば、高品質ですので安心して与えることができます。
まとめ
- ドライフードとウェットフードは、水分保有量が大きく異なる
- ドライフードは年齢や犬種別、コスパが良いなどの特徴がある
- ウェットフードは水分補給ができる、嚙む力が弱くても食べやすいなどの特徴がある
- ペットフードには総合栄養食、間食、療法食、その他目的食の4種類がある
- ドライフードとウェットフードでは、製造方法も異なる
- ドライフード、ウェット共にメリットデメリットがある
- 飲水量の少ない猫にはウェットフードがおすすめ
- ドライフードでも毎日の歯磨きは必要
ドライフードとウェットフードの最大の違いは、水分保有量にあります。
そのため、普段から水分を摂らない犬にはウェットフードが適しています。
ドライフードは、一粒にしっかりと栄養が凝縮されているので、ウェットフードに比べ1回の給餌量が少なくて済むという特徴があります。
特に体の大きな大型犬などには、ドライフードの方が経済的といえるでしょう。
ドライフードもウェットフードも、毎日の主食には、総合栄養食と記載のある商品を与えるようにしてください。
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