ドッグフード

【獣医師執筆】オーガニックのドッグフードとは?メリットとデメリット、おすすめ商品を紹介

執筆者:大熊 真穂
獣医師。現在複数の動物病院で臨床獣医師として勤務しながら専門知識や経 ...プロフィールをもっと見る

高品質で身体に良いイメージがあるオーガニックのドッグフードですが、そもそもどのようなものをオーガニックと呼ぶのかご存でしょうか。

この記事では、オーガニックのドッグフードの特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説します。

愛犬の健康のためにオーガニックのドッグフードを与えたいと考えている方は、メリットだけではなくデメリットや正しい選び方も把握しておきましょう。

オーガニックのドッグフードとは

オーガニックのドッグフードとは、原材料にオーガニック製法(有機栽培)で育てられた農産物や家畜を使用しているドッグフードです。

オーガニック製法は、農薬や化学肥料に頼らず、自然の恵みを生かした農林水産業や加工方法を指します。

商品にオーガニックと記載するためには、国や国際的なルールに従って定められた基準を満たしたうえで、第三者の登録認定機関から承認される必要があります。

参考資料:農林水産省HP 学ぼう!有機食品 

オーガニックドッグフードのメリット

オーガニックのドッグフードには以下のようなメリットがあります。

  • 信頼性が高い
  • 自然環境にやさしい

先述したとおり、オーガニックのドッグフードは原材料そのものに厳しい基準をクリアした農産物や家畜が使用されています。そのため、信頼性が高く、安心して与えられる点が大きなメリットです。

また、オーガニックの商品を購入し、農薬や化学肥料の使用を少しでも減らすことで、自然環境にも良い影響を与えられるでしょう。

オーガニック食品の購入動機に関する消費者調査によると、人の場合は「おいしいから」という回答が多くみられました。

学校給食の分野では野菜嫌いの子どもがオーガニックであれば喜んで食べる例が数多く報告されていますが、犬の嗜好に関しては不明です。

オーガニックドッグフードのデメリット

高品質で安全性が高いオーガニックのドッグフードですが、以下のようなデメリットもあります。

  • 商品が少なく価格が高い
  • 原材料すべてがオーガニックではないものもある
  • 原材料はオーガニックでも生産・加工の段階で添加物が加えられることがある

それぞれ詳しく解説します。

商品が少なく価格が高い

日本ではペットフードの安全性を確保するために「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」が制定されています。

しかし、ペットフードの多くは、各メーカーが個々に人間の食品の製造と同じ衛生基準でペットフードを製造しており、アメリカやヨーロッパのような法律による規定はありません。

さらに、日本で有機基準が制定されているのは「有機農産物」「有機加工食品」「有機畜産物」「有機飼料」の4品目のみです。つまり、日本においてペットフードがオーガニック認証を取ることはできません。

そのため、欧米などの海外のオーガニック認証を取るか、オーガニック認証をとったドッグフードを輸入する必要があります。原材料の調達をはじめ、厳しい基準をクリアするための労力がかかることから、オーガニックのドッグフードは商品数が少なく、価格が高くなる傾向があります。

原材料すべてがオーガニックではないものもある

「オーガニック」と記載してあると、原材料のすべてがオーガニックだと思う方もいるでしょう。

しかし、なかには原材料の一部のみにオーガニックの原材料が使用されているものもあります。

これは、海外でオーガニックの認証を受けていても、国によってオーガニックと記載できる原料のパーセンテージの基準が異なるためです。どれぐらいの原材料がオーガニックであるかは不明だという実状があります。

なお、ドッグフードの性質上、栄養バランスのためにビタミンやミネラルの添加は必須であるため、厳密には「総合栄養食で100%オーガニックのペットフードはない」といわれています。

参考資料:ナチュラル・オーガニックフードの誤解 米国におけるペットフード業界の傾向と規制の実態 岡田ゆう紀

原材料はオーガニックでも生産・加工の段階で添加物が加えられることがある

オーガニックのドッグフードは、可能な限り化学的なものを排除しています。しかし「化学物質不検出」を保証するものではありません。

また、原材料はオーガニック製法で育てられたものでも、品質維持の目的により生産や加工の段階で人工的な添加物が加えられるケースもあります

オーガニックのドッグフードとそれ以外のドッグフードはどちらがおすすめ?

オーガニック認証が取れていなくても、品質の良いドッグフードは数多く存在します。

また、先述したとおり、オーガニックのドッグフードであっても人工的な食品添加物が加えられているケースもあるため、「オーガニックなら安心」という考え方でドッグフードを選ぶことはおすすめしません。

もっとも大切なのは、オーガニックであるかどうかに関わらず、ドッグフードのラベルを確認し、愛犬の身体に合ったものを選ぶことです。

また、飼い主さまご自身が安心して愛犬に与えられるものを選びましょう。

わたし自身が小動物臨床に携わっているなかでも常々感じることですが、ペットは飼い主さまの気持ちを敏感に察知します。

「この子には品質の良い食事を与えているから安心」という安心感は、愛犬にしっかりと伝わっているでしょう。

【獣医師推奨】おすすめのオーガニックドッグフード

ソルビダのドッグフードは、70%以上がオーガニック原料で作られています。

なお、ドッグフードを変更する場合は一度にすべて変えるのではなく、10日ほどかけて少しずつ切り替えていきましょう。

ソルビダ グレインフリー チキン 室内飼育成犬用

ポイント:
成犬、グレインフリー

「ソルビダ グレインフリー チキン 室内飼育成犬用」は、運動量が不足しがちな室内飼育の成犬を対象に、カロリー控えめで作られたドッグフードです。カロリー控えめながら、高品質なオーガニックチキン、厳選された野菜やフルーツなど、新鮮なオーガニック原材料をたっぷりと使用し、理想的な栄養がバランスよく配合されています。

また、アレルギーに配慮し、穀物類が一切使用されていないグレインフリーフードで、腸に負担をかけない消化が可能です。くわえて、穀物類の代わりに、栄養価が高く消化性に優れた豆類を使用することで、効率的な栄養の吸収を可能にしています。

ソルビダ グレインフリー ターキー 室内飼育全年齢対応

ポイント:
子犬、成犬、シニア、グレインフリー

「ソルビダ グレインフリーターキー 室内飼育全年齢対応」は、高品質なオーガニックターキー、厳選された野菜やフルーツなど、新鮮なオーガニック原材料をたっぷりと使用し、理想的な栄養がバランスよく配合された、室内飼育全年齢対応のドッグフードです。

チキンアレルギーに配慮し、主原料はターキーです。また、食物アレルギーや穀物類の消化が苦手な愛犬に配慮し、穀物類が一切使用されていません(グレインフリー)。穀物類の代わりに、栄養価が高く消化性に優れた豆類を使用することで、効率的な栄養の吸収を可能にしています。

愛犬の身体に合ったドッグフードの選び方

身体に合うドッグフードとは、その犬にとって消化や吸収が良いフードのことです。高価なドッグフードが、必ずしも消化吸収が良いフードとは限りません。

では、消化吸収の良いドッグフードは何を基準に選べばよいのでしょうか。

消化吸収がしっかりできているか否かは便の状態で、栄養状態が充実しているかどうかは被毛や皮膚の状態でチェックします。

便の状態

消化吸収がしっかりできていると、ティッシュでつまんでも崩れずに、地面もほとんど汚れない固さの便が出ます。

便の回数は食事の回数プラス1回ほどで、1回の量は少なめです。

被毛・皮膚の状態

栄養状態が良い犬の被毛は艶があり、毛量も多めです。

また、かゆみや赤み、湿疹などの皮膚トラブルが発生しにくくなります。

犬の特徴に合わせて選ぶ

犬種やサイズ、生活環境によっても適切なドッグフードは異なります。

たとえば、超小型犬であれば口やあごが小さいため、粒が小さく食べやすいものが合っています。

中型犬や大型犬は、体が小さい犬よりも骨や関節に負担がかかりやすいことから、太らせないように注意しなければなりません。

また、運動が得意で活発な犬と、ハードな運動を好まない犬では、消費カロリーが大きく変わってきます。愛犬の特徴に合わせて量を調整しながら、いろいろなフードを試してみましょう。

ドッグフードのラベルについて

先述したとおり、ドッグフードを選ぶ際にはパッケージのラベルを確認することが大切です。ここでは、ドッグフードのラベル表示とチェックポイントについて解説します。

ドッグフードのラベル表示

ドッグフードのラベルには、法律やルールによって定められた情報が記載されています。ペットフード安全法により定められている以下の5項目は、安全確保のための情報です。

  • ペットフードの名称
  • 原材料名
  • 賞味期限
  • 原産国名
  • 製造業者、輸入業者または販売業者の名前または名称および住所

また、消費者であるわたしたちが適切な製品を選ぶための情報は、ペットフード公正取引協議会が作成した「ペットフードの表示に関する公正競争規約」により、以下の表示が義務付けられています。

  • ペットフードの目的(総合栄養食、間食、療法食、その他の目的食の別)
  • 内容量
  • 給与方法
  • 成分:(粗)たんぱく質、脂質(粗脂肪)、粗繊維、(粗)灰分、水分の重量比%

原材料名はラベルのチェックポイント

原材料名は、多く使用されている順(水分を含んだ重さベース)に記載されています。

そのため、最初の5つを見ると、そのフードのおおよその構成がわかります。

さらに、原材料名にはペットフード製造に使用されている添加物を含むすべての原材料を表示しなくてはなりません。

愛犬の健康を守るためには、できるだけ人工的な食品添加物が使われていないフードを選ぶことをおすすめします。

アメリカのドッグフードとオーガニック認証について

ペット先進国といわれるアメリカでは、アメリカ政府と各州の2段階の法により人間の食品と同様の厳しい規制があります。AAFCO(Association of American Feed Control Officials:米国飼料検査官協会)のペットフードの栄養基準は、日本を含め国際的な基準として確立されています。

また、オーガニック認証はアメリカ農務省の機関NOP(National Organic Program)が定める食品基準に基づいておこなわれます。ペットフードに対しても土壌や水、種子や肥料、育成環境に対するさまざまな条件を満たしたうえで、それを証明する資料と製品を提出し、NOPの現地視察を受けなければなりません。

なお、オーガニックのペットフードかどうかは、認定マークの有無により消費者が簡単に確認できる仕組みです。

オーガニック表記にはいくつか種類があり、95%以上のオーガニック原料が使用されていれば「USDAオーガニックシール」の貼り付けが許可されます。

全成分の70%以上がオーガニック原料の場合は、シールの貼り付けはできないものの、「オーガニックの原料使用」とパッケージに記載することが可能です。

【まとめ】オーガニックのドッグフードは愛犬の身体に合うものを選ぼう

オーガニックのドッグフードは、安全性や信頼性が高い点が大きなメリットです。また、オーガニックが広まれば、自然環境を守ることにもつながります。

ただし、価格が高い、人工的な添加物が含まれている場合がある、といったデメリットがあることも理解しておきましょう。

オーガニックというだけで選ぶのではなく、原材料や添加物をよく確認し、便と皮膚・被毛の状態をみながら愛犬の身体に合ったものを選ぶことが大切です。

ABOUT ME
大熊 真穂
獣医師。現在複数の動物病院で臨床獣医師として勤務しながら 専門知識や経験を活かして各種メディアや個人サイトでライターとして情報を発信している。
ライフワークは「ペットと飼い主様がより元気で幸せに過ごすお手伝いをする」こと。
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