ドッグフード

【獣医師執筆】魚を原材料に使用しているドッグフードのメリット・デメリット

執筆者:岡田 京子
北里大学 獣医畜産学部 獣医学科2008年卒業。金沢医科大学 大学院 ...プロフィールをもっと見る

ドッグフードに使用される原材料といえば「肉」というイメージがあるかもしれませんが、最近では「魚」が主原料のフードも増えています。

たんぱく質は犬の健康な体づくりのために重要な栄養素ですが、肉と魚のどちらが良いかは一概にはいえません。それぞれの身体に合ったものを選ぶことで、はじめてメリットが現れます。

本記事では、魚を原材料に使用しているドッグフードのメリットとデメリット、おすすめの商品を紹介します。

魚を原材料に使用しているドッグフードのメリット

魚には、肉にはないメリットが多くあります。魚が主原料のドッグフードを与える主なメリットは以下のとおりです。

  • オメガ3脂肪酸が豊富
  • 高たんぱく低脂質
  • アレルギー反応が出にくい
  • タウリンを十分に摂取できる

それぞれ詳しく解説します。

オメガ3脂肪酸が豊富

オメガ3脂肪酸は、体内では合成できない栄養素であり、食事で補うしかありません。

魚にはDHAやEPAというオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。DHAやEPAには毛のツヤを良くする効果があるほか、脳疾患や認知症の予防にも効果が期待できます

また、抗炎症作用により、皮膚炎のトラブル解消にも役立つといわれています。

高たんぱく低脂質

基本的に魚は肉よりも高たんぱくかつ低脂質であるため、ダイエットや肥満防止に効果的です。

魚の種類や部位によって脂質の含有量は異なりますが、ヘルシーとされる鶏肉と比べても魚の脂質は少なく、1/2程度しか含まれていません。逆に、たんぱく質は1.5倍もあります。

カロリーを抑えながら多くのたんぱく質を摂取できる魚は、筋力が低下しやすい高齢犬にも最適です。

アレルギー反応が出にくい

アレルギー反応は、アレルゲンの過剰摂取によって起こります。血液検査によるアレルギー検査で陽性となる項目があっても、一般的にはアレルギー反応が出なければ与えても問題はないといわれています。

これまでのドッグフードは肉メインであったため、魚が原材料のドッグフードはアレルゲンになりにくく、反応も出にくいことがメリットです。

タウリンを十分に摂取できる

タウリンは、主に心臓で働きます。カルシウムを調節するタウリンは、心臓の収縮に必要不可欠で、犬の拡張型心筋症とタウリン欠乏には相関関係があるという報告もあります。

また、ビタミンCやEとともに摂取することで、抗酸化作用も期待できます。そのほか、肝臓の解毒機能、視力や聴力、皮膚のバリア機能を正常に保つためにもタウリンは必要な栄養素です。

魚を原材料に使用しているドッグフードのデメリット

多くのメリットがある一方で、魚ベースのドッグフードを与える際には以下のような注意点もあります。

  • 肉と比較して腹持ちや嗜好性が良くない
  • 手作りフードは骨や寄生虫に注意が必要
  • 食べすぎや長期摂取によりアレルギー反応がでるおそれがある

魚のデメリットについて詳しくみていきましょう。

肉と比較して腹持ちや嗜好性が良くない

魚は脂質が少ないため消化が早く、胃腸に優しい一方、腹持ちは良くありません。空腹感が早くやってきまが、たくさん与えてしまうと肥満の原因となるため、1日の摂取量はきちんと計測しましょう。

また、犬それぞれに好みがあるため、魚ベースのドッグフードでは食いつきが落ちる場合があります。

フードを切り替える際には、今までのフードと混ぜながら、1週間から10日ほどかけて少しずつシフトしていきましょう。おいしく感じないものを無理やり食べさせることは、犬にストレスを与えてしまいます。どうしても食べないときは、食いつきの良いフードに戻してあげてください。

手作りフードは寄生虫や骨に注意が必要

市販のドッグフードであれば、寄生虫や骨に注意する必要はほとんどありません。しかし、自宅で魚を使って手作りする場合は、寄生虫や細菌などの食中毒、骨の取り残しによる咽頭異物のリスクがあるため、しっかりと調理してあげましょう。

なお、ビタミンB1欠乏症のおそれがあるため、タコやイカ、エビ、カニの生食は厳禁です。

加熱すれば食べられますが、消化が非常に悪く、嘔吐や下痢などの消化器症状の原因となるため与えないようにしてください。

食べすぎや長期摂取によりアレルギー反応がでるおそれがある

犬のアレルギー反応は、一般的に使用されている牛肉や豚肉、鶏肉に対して多くでる傾向があります。魚に対してのアレルギー反応は少ないといわれていますが、ずっと反応が出ないとは言い切れません。

過剰摂取や体質の変化などにより反応が出ることもあるため、食べすぎと体調管理には十分注意してあげましょう。

含まれているたんぱく質は魚だけ?添加物にも注意

魚が主原料のドッグフードでも、肉類を配合しているものがあります。肉に対するアレルギーをもつ子は、肉と魚のたんぱく質がブレンドされているとアレルギー反応がでるおそれがあるため注意が必要です。

また、着色料や香料、保存料などの合成添加物が多く使用されているドッグフードはできるだけ避けましょう。添加物の過剰摂取は、体調不良の原因となる場合があります。大切な家族の健康を守るためには、成分表示の確認が欠かせません。

アレルゲンとなる物質はたんぱく質だけではなく、穀物や果物、植物などさまざまです。

どのようなときに、どんな症状が出るのか、うちの子日記をつけておくとアレルギーの早期発見・早期対処につながり、重症化を防げますよ。

【まとめ】魚のメリット・デメリットを把握して愛犬に合ったドッグフードを取り入れよう

魚を原材料とするドッグフードのメリット・デメリットについて解説しました。魚には犬の健康維持につながるさまざまなメリットがある一方、腹持ちや嗜好性など注意点もあります。切り替える際は、いつものフードに混ぜながら徐々に魚ベースのドッグフードに変更していきましょう。

元気で健康な身体づくりのために、愛犬の体質や好みに合った食べ物を選ぶことは、飼い主さんの重要な仕事です。体調やライフステージに合わせた食生活を心がけることはもちろん、適度な運動や知育など生活環境にも配慮して、愛犬との生活をより充実させましょう。

魚を原材料に使用しているおすすめドッグフード

RIGARO(リガロ) ハイプロテインレシピ フィッシュ(子犬・成犬用)

ポイント:
子犬、成犬、グレインフリー

「RIGARO(リガロ) ハイプロテインレシピ フィッシュ(子犬・成犬用) 」は、動物性タンパク源としてホワイトフィッシュ(シナノユキマス)のみを主原料とするドッグフードです。複数のタンパク源の摂取を避けたい愛犬に適しています。

血液をさらさらに保つ「EPA」や、脳や目の健康維持に効果がある「DHA」、抗酸化作用に優れた「アスタキサンチン」なども多く含んでいます。直径約8mmの小粒サイズであり、小型犬やお口の小さな愛犬でも食べやすいのが特徴です。また、シンバイオティクスが配合されており、腸の健康や消化吸収を助けるとともに、お腹の中でゆっくり消化されるため、長時間満腹感を維持できます。

ココグルメ フィッシュ&パンプキン

ポイント:
ダイエット、低脂質、子犬、成犬、シニア

「ココグルメ フィッシュ&パンプキン」は、ダイエット中や体重管理が必要な犬におすすめのドッグフードです。主な原材料には、高たんぱく質・低脂質の国産すけとうだら、中性脂肪の減少効果があるとされるオメガ3系不飽和脂肪酸を豊富に含むまぐろ、βーカロテンをはじめとした豊富なビタミンや食物繊維を持つブロッコリーやかぼちゃを採用。

素材そのもののおいしさや栄養成分にこだわり、酸化防止剤や発色剤、保存料や着色料などが一切添加されていません。獣医師監修のもと総合栄養食基準で作られているため、安全安心なフードです。

アカナ パシフィカレシピ

ポイント:
子犬、成犬、シニア、皮膚ケア

「アカナ ハイエストプロテイン パシフィカドッグレシピ」は、同社製品ラインナップの中でも特に高たんぱく質な、魚のみの動物原材料を使ったドッグフードです。丸ごとのサバやニシン、メバルやヘイク、カレイなどの高品質な動物原材料が70%、毎日キッチンに届けられる新鮮なフルーツや野菜、ハーブが30%の比率で配合されています。

人工着色料、人工香料、人工保存料は無添加で、愛犬にとって自然な食事が再現されています。オメガ3系不飽和脂肪酸が豊富に含まれているため、愛犬の皮膚や被毛の健康が気になる方には特におすすめのフードです。

オリジン SIX FISH

ポイント:
子犬、成犬、シニア、皮膚ケア

たんぱく質豊富で栄養バランスのとれた食事は、愛犬が健康で幸せに暮らすためには欠かせません。「オリジン SIX FISH」は、天然魚の身、内臓、骨を丸ごと使用した、主に魚が原材料の栄養満点のドッグフードです。

原材料の魚の3分の2は新鮮または生の状態のものを使用し、鮮度の高い高品質なたんぱく質がふんだんに詰まっています。また、魚に含まれるオメガ脂肪酸は、皮膚や毛並みの健康サポートに効果的です。さらに、キブル(粒)には、フリーズドライのレバーが配合され、愛犬が喜ぶ味に仕上げられています。

ABOUT ME
岡田 京子
北里大学 獣医畜産学部 獣医学科2008年卒業。金沢医科大学 大学院医学研究科にて医学博士号取得。
往診専門動物病院獣医師として活動し、2021年に石川県初の往診専門動物病院である「るる動物病院」を開業しました。
オンライン診療や相談に積極的に取り組む傍ら、地域猫に対しての活動も行っています。
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