執筆者:岡田 京子
北里大学 獣医畜産学部 獣医学科2008年卒業。金沢医科大学 大学院 ...プロフィールをもっと見る
カリウムやリコピン、βカロテンなど、健康維持に役立つ栄養素が豊富な「トマト」。おいしいトマトが手に入ったら、そのおいしさを愛犬とも共有したくなりますよね。
犬にトマトを与えても問題ありませんが、いくつかの注意点を把握しておく必要があります。与え方を間違えると、かえって健康に害を及ぼしかねません。
本記事では、トマトに含まれる栄養素やを与えるときの注意点について解説していきます。
犬にトマトを与えても大丈夫?
基本的には、犬にトマトを食べさせて問題ありません。生のトマトと加熱したもの、どちらも問題ないといわれています。
ただし、トマトには水分が多く含まれているため、個体によっては与えすぎるとおなかを壊したり、嘔吐したりするおそれがあります。
トマトを初めて与える場合には、少量からスタートして様子をみながら与えていくことが大切です。
トマトに含まれる栄養素と効果
トマトは水分補給や健康維持に役立つ食材です。熱中症予防につながるほか、老化防止やがん予防、健康的な皮膚・被毛の維持などの効果も期待できます。
- 水分:トマトは約95%が水分で、脂質や糖質も少ない野菜です。100gあたりの生のトマトは20kcal、ミニトマトは30kcalと低カロリーです。
- ビタミンC・E:抗酸化作用と皮膚の健康維持に役立ちます。
- カリウム:体内のナトリウムを尿として排出し、むくみ改善に役立ちます。ただし、心臓病や腎臓病などでカリウムの摂取制限がある子は注意が必要です。獣医師の指示を仰ぎましょう。
- βカロテン・リコピン:抗酸化作用によって活性酸素を減少させる効果が期待できます。
- 食物繊維:腸内環境を整え、便秘の解消をサポートします。
犬にトマトを与えるときの注意点
犬にトマトを与えるときは、量や調理方法に注意が必要です。また、ヘタや青いトマトには犬にとって有害な成分が含まれているため、与えてはいけません。
アレルギーや炎症を起こすおそれも
すべての犬がトマトを食べられるわけではありません。トマトの皮や種には「レクチン」と呼ばれるタンパク質が含まれています。レクチンに反応して、アレルギーや胃腸炎などを起こす場合があります。
アレルギー体質の子や、胃炎・腸炎でお腹を壊しやすい子はとくに注意が必要です。若齢犬や老齢犬にトマトを与える際は、消化しにくい種や皮を取り除き、加熱してから与えましょう。
レクチンが含まれる野菜は、トマトのほかにも多くあります。ナス科ではピーマン、パプリカ、ナス、じゃがいも、ウリ科はカボチャ、きゅうり、ズッキーニ、アブラナ科はブロッコリー、カリフラワー、白菜、チンゲン菜、キャベツなどです。
加熱してもレクチンの量は変わらない食材もあるため、与えるときは1日中様子を観察できる日の朝に、少量から始めてください。
また、ブタクサやスギによる花粉症がある子は、トマトでもアレルギーがでる可能性があります。
ヘタや青いトマトはNG
トマトの可食部は赤い実です。ヘタ、花、葉、茎や青いトマトには「トマチン」という有毒な成分が多く含まれているため、与えないようにしてください。
トマチンはアルカロイド(※1)の一種で、ヘタ、花、葉、茎に多く含まれています。完熟果実にも含まれていますが、4トンくらいを一気に食べないと毒性がないくらいの量です。
トマトに含まれるトマチンの含有量は、種類によっても異なりますが、以下のような報告があります。
- 花:1100 mg/kg
- 葉:975 mg/kg
- 茎:896 mg/kg
- 未熟果実:465 mg/kg
- 熟した青い果実:48 mg/kg
- 完熟果実:0.4 mg/kg
このように、完熟果実のトマトに比べると、花・葉・茎や未熟なトマトには非常に多くのトマチンが含まれています。
人では、体重50kgで未熟なトマト34個が致死量とされていますが、体重5㎏の犬に換算すると未熟なトマト3個が致死量と推測されます。
そもそも、犬が青いトマトを好んで食べることはあまりないと思われますが、誤って食べてしまわないように注意しましょう。
中毒症状には個体差があり、少量であれば大丈夫とは言い切れません。
※1 アルカロイド:植物体中に存在する窒素を含む塩基性有機化合物の総称。
愛犬がトマトのヘタ・葉・茎・花を食べてしまったら?
トマチン中毒になった場合、以下のような症状が見られます。
- 下痢
- 嘔吐
- 虚脱(ぐったりする)
- 可視粘膜の蒼白(歯茎が白くなる)
トマトのヘタ・葉・茎・花を食べてしまった可能性があり、これらの症状があれば、早急に動物病院を受診してください。何をどれくらい食べたのかをメモし、食べ残しがあれば持参すると診察がスムーズです。
動物病院では、誤食してから30分以内に吐かせる催吐処置や、活性炭の内服による毒素の吸着、場合によっては胃洗浄を行います。状態が良くなければ入院管理が必要となることもあります。
トマトを家庭菜園している場合はもちろん、最近では市販のトマトにも茎が付いているものがあるため、与える際には注意が必要です。
赤いトマトも注意が必要
トマトはビタミンやカリウムなど、犬にとって多くのメリットがある栄養素を含んだ食材です。
一方で「シュウ酸」という成分も含まれており、過剰摂取すると結石の原因となるおそれがあるため、結石や腎臓疾患のある犬とくに注意が必要です。
トマトのシュウ酸による害を軽減させるためには、食べ方を工夫するとよいでしょう。
トマトは過熱してから与えるのがよい?
トマトは生で与えても、加熱してもOKですが、ヘタは必ず取り除きましょう。シュウ酸を懸念する場合は、加熱してから与える方法が有効です。
たとえば、以下のような調理方法があります。
- 生:生のトマトを食べやすい大きさのサイコロ上に切り、そのまま与えるかトッピングとして使用します。
- 焼く・炒める:加熱するとうまみやリコピンが増えるため、生で食べられない子におすすめです。
- 煮る:水溶性ビタミンであるビタミンCやカリウムを摂取したい場合はスープごと与えるとよいでしょう。
加工品のトマトは成分表示を必ず確認する
トマトのピューレ、ペースト、ドライトマトなどの加工品も多く販売されています。
加工品を与えても問題はありませんが、犬が食べてはいけないものが入っていないか、成分表示を必ず確認してください。
また、ジュースには砂糖や塩分などが含まれている場合もあるため、調味料が含まれていないものを選びましょう。
おすすめのトマト入りドッグフード6選
愛犬にトマトを食べさせたいけれど、適量がわからない場合や、調理する時間がない場合はトマトを原材料に使用したドッグフードを取り入れるのもおすすめです。
獣医師おすすめのトマト入りフードを紹介します。
【まとめ】トマトは栄養豊富!適切な量と正しい与え方を心がけて
トマトは犬にとってメリットとなる栄養素が多く含まれており、完熟していれば食べさせても基本的に問題はありません。
しかし、トマトのヘタや茎、葉、花、未熟な青いトマトには有害なトマチンという物質が多量に含まれています。うっかり食べさせてしまい、体に吸収されてからでは治療が困難となるケースもあるため、絶対に与えないようにしましょう。
また、尿路結石や腎結石を持病に持つ子、若齢犬、老齢犬はトマトの摂取に注意が必要です。自己判断では自信がない場合は、トマトをあげる前に獣医師に相談してみるとよいでしょう。
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