ドッグフード

【獣医師執筆】缶詰入りドッグフードはどう与えるべき?メリットとデメリット、与える際の注意点

執筆者:葛野 莉奈
麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師 ...プロフィールをもっと見る

ドッグフードといえばドライフードが主流であり、缶詰入りのドッグフードは与えたことがない飼い主さんも多いのではないでしょうか。 

実は缶詰入りドッグフードにはさまざまなメリットがあり、条件が合う子であれば摂食時の悩みを解決できる可能性があります。

本記事では、缶詰入りドッグフードのメリット・デメリットや、与える際の注意点などを紹介します。

缶詰がどんなときに与えるフードなのか、どんな子に適しているのかを知り、愛犬のごはんの幅を広げてあげましょう。

ドッグフードの種類

愛犬が健康に過ごすために欠かせないのが、良質なドッグフードです。

栄養や生活に必要な熱量を摂取しないと、健康に過ごすことはできません。

ドッグフードは、目的や形状などによってさまざまな種類に分けられます。まずは、ドッグフードの主な種類をみていきましょう。

目的別による分類

市販されているドッグフードは、使用目的によって以下の4つに分類されます。

  • 総合栄養食
  • 間食
  • 療法食
  • その他の目的食

総合栄養食とは、そのドッグフードのみで必要な栄養や熱量を摂取できるものです。

間食は、おやつやトッピングとして補助的に使用するものであり、間食のみを与えても健康的な体づくりはできません。

療法食とは、病気によって、制限するべき成分や摂取したほうがよい成分などが調整されているドッグフードを指します。基本的には獣医師による処方が必要です。

その他の目的食は、上記に分類されないものや、トッピングとなるものが該当します。その他の目的食という表記があっても、総合栄養食の組成に準じる栄養が含まれているフードもあります。

形状による分類

ドッグフードの形状も、以下のようにさまざまなタイプが存在します。

  • ドライフード
  •  セミモイスト
  • ウェットフード

もっとも広く食べられているのはドライフードです。原材料を混ぜたうえで、しっかりと乾燥させているため、含まれる水分が少ない点が特徴です。おなかの中で膨らむため、少量でも満腹感を得ることができます。

一口にドライフードといっても粒の大きさはさまざまなため、愛犬のあごの大きさなどに合わせ粒の大きさを変えてあげると食べやすくなるでしょう。

セミモイストタイプは、ドライフードのように形はありますが、やわらかくて水分を多く含んでいる点が特徴です。

そして、セミモイストよりもさらに水分を多く含むドッグフードはウェットフードと呼ばれます。ウェットフードは、缶詰やパウチに入れられているのが一般的です。

ウェットフードはやわらかいため消化に優しく、高齢であごの力が弱い子でも食べやすいメリットがあります。

一方で、水分を多く含むことから、栄養や熱量を十分に摂取するためにはドライフードよりも多くの量を食べなければなりません。

缶詰入りドッグフードのメリット・デメリット

先述したとおり、缶詰入りドッグフードとは水分を多く含むウェットフードのことです。

ドッグフードというと、使い勝手が良くコストも抑えられるドライフードを選択する方が多いでしょう。

缶詰などのウェットフードは第一選択にはなりにくいものの、メリットも多くあります。

缶詰入りドッグフードのメリットとデメリットを紹介します。

メリット

缶詰のドッグフードは水分を多く含んでおり、やわらかいことが特徴です。消化が良いほか、水分を多く摂取できるメリットがあります。

また、水分や脂質を多く含むため風味が増しやすく、犬たちのさまざまな嗜好性にも適応できる傾向があります。

ドライフードへの食いつきが悪い子でも、缶詰入りのドッグフードであれば喜んで食べてくれる可能性があるでしょう。

デメリット

水分を多く含んでいる分、必要な熱量や栄養素を十分に摂取するためには、ある程度多くの量を食べなければなりません。

食べているうちに疲れてしまうような高齢犬の場合は、頻回与えるなどの対策が必要となります。

また、開封後に鮮度が落ちやすい点もデメリットといえるでしょう。水分や脂質を多く含んでいるため、常温では腐敗が進んでしまう危険性があります。

ラップや専用のふたをした状態で冷蔵保存するなど、品質維持のための工夫が必要です。

缶詰のサイズによっては劣化してしまい、食べずに破棄することになりかねないため、少量しか食べられない小型犬や若齢、高齢犬にはあまり向いていません。

缶詰入りドッグフードを与えるときのポイント

缶詰入りドッグフードを選択した場合は、適切な与え方や保存方法、アレンジの仕方などを事前に確認しておきましょう。

まずは与える量を確認

総合栄養食として缶詰入りドッグフードのみを与える場合は、栄養素や熱量を摂取するために、どれだけの量が必要なのかを確認することが大切です。

一般的には、犬の体重に見合った必要量が缶詰のパッケージに記載されています。

ダイエット中の子であれば、今の体重量ではなく、目標とする体重の摂取量を確認しましょう。一方、体重増加を目指す場合は、現在よりも少し重い体重の必要量を与えることで、理想的な体型に近づける可能性があります。

また、メーカーによって必要量の記載方法が異なる点に注意してください。一食の量の目安なのか、一日の摂食量の目安なのかをよく確認したうえで与えましょう。

缶詰入りドッグフードに変更したあとも、こまめに体重測定や肉付きの変化をチェックし、適切な量に調整してあげてください。

残ってしまったら保存方法を考慮

体が大きい子であれば、缶詰を食べ切ることは難しくないでしょう。しかし、一回の摂食量が少ない子や小型犬の子は、一缶を1回で食べきれない可能性があります。

季節にもよりますが、缶詰入りドッグフードは開封後の劣化が進みやすいため、ラップなどを用いてきちんと密封した状態での冷蔵保存が欠かせません。最近では、缶詰用の蓋も市販されているため、ぜひ活用してみてください。

ただし、開封したフードは空気に触れてしまっているため、酸化による劣化のおそれがあります。冷蔵保存後も、2〜3日で食べきることが必要です。

また、小分けにした状態で冷凍保存が可能なドッグフードもあります。すぐに食べきれない場合は、冷凍保存をすると保存期間が少し伸ばせるでしょう。

おいしく食べてくれる工夫をする

食欲不振の子、高齢や持病によって嗜好性が変化した子は、ドライフードから缶詰入りドッグフードに変更しただけでは食欲の増進につながらない場合があります。

そこで、よりおいしく食べられるような工夫をしてみましょう。

脂質を含む缶詰入りドッグフードは、温めることで香りが広がり、嗜好性が高まるため食いつきが良くなる可能性があります。

人間は、舌に存在する味蕾(みらい)と呼ばれる細胞によって、味覚を感じることができます。

しかし、犬は味蕾が人よりも少ないため、味覚だけではなく嗅覚も使っておいしいかどうかを判断するとされています。

嗅覚が鈍くなった高齢犬や、鼻詰まりがあってにおいを感じにくくなっている犬は、食物の味や風味を判断する感覚が半減するため、おいしさを感じにくくなってしまうのです。

湯せんやレンジで人肌程度に加熱したり、食器に触れてやけどしない程度に温めたりすることで、風味が増して食欲増進につながるでしょう。

缶詰入りドッグフードの上手な使い方

量の調整や保存が難しい缶詰入りドッグフードですが、メリットを上手に活かすことで、摂食が困難な犬にとっても飼い主さんにとっても負担やストレスの軽減につながる可能性があります。

ここでは、缶詰入りドッグフードをうまく取り入れる方法を紹介します。

あごの力が弱い子や高齢犬の総合栄養食として

ドッグフードといえばドライフードを主食として考えがちですが、必ずしもドライフードでなければいけないわけではありません。

それぞれの体の状態に応じて、犬たちがストレスなく摂食できることが一番大切です

小型犬であごが小さく噛む力が弱い子や、高齢犬になり歯周病が進行している子、持病であごを切除した子などは、ドライフードの固い粒をかみ砕くことは難しいでしょう。

そこで、缶詰入りのウェットフードを選択してあげることで、摂食にかかる時間を減らし、効率良く栄養を摂取できます。食べているうちに体力を消耗してしまう事態も防げます。

ただし、缶詰入りドッグフードのみで栄養や熱量を十分に摂れるのか、総合栄養食であるかどうかを、与える前にきちんと確認しましょう

ごはんの食いつきが良くないときのトッピングとして

缶詰入りドッグフードは、加熱をして風味を高めるなどの工夫をしやすいため、食欲不振や食ムラがある子にもおすすめです。

ごはんを食べないわけではなく、噛む力も十分にある場合、完全に缶詰入りのウェットフードに切り替えることは躊躇する飼い主さんが多いでしょう。

トッピングとして缶詰入りドッグフードを取り入れ、風味付けをおこなうだけでも食欲増進につながることがあります。

少量をドライフードの上にのせたり、中に混ぜ込んだりと、愛犬の嗜好性に合わせた方法で使用しましょう。

ただし、トッピングとして使用する場合、缶詰入りのドッグフードの熱量が加算されるため、毎食加えているとカロリーオーバーになるおそれがあります。

ドライフードの量を少し減らすなどして、摂取カロリーが多くなりすぎないように調整してあげてください。

投薬時のアイテムとして

投薬時に薬だけを吐き出されてしまうときにも、缶詰のドッグフードを活用できます。

ドライフードの中には薬を埋め込むことが難しく、噛んでいるうちに薬の粒に気づいて吐き出したり、粒の大きさの違いでよけたりする子が多いようです。

そこで、少量の缶詰入りのウェットフードで薬をくるんで与えると、ウェットフードの風味の強さで薬の風味が消されて、上手に飲み込んでくれる場合があります

普段缶詰入りのドッグフードをあまり食べない子であれば、よりおいしさに注意が向き、薬が混ぜ込まれている違和感に気づきにくいでしょう。

投薬で苦戦している飼い主さんにはおすすめの方法です。

【まとめ】缶詰入りドッグフードのメリットを知ってうまく活用しよう

犬の主食には、与える量の少なさや保管のしやすさ、コストパフォーマンスなどの点から、ドライフードを選択する方が多いでしょう。

しかし、年齢や嗜好性、体の特徴などによっては、ウェットフードにしてあげたほうが効率良く栄養を摂取し、食を楽しめる可能性があります。

現在、ドライフードへの食いつきの悪さや食べづらさに悩んでいる飼い主さんは、ぜひ一度缶詰入りドッグフードを試してみてください。

投薬や食欲増進などにも活かせる缶詰入りドッグフードを、うまく取り入れていきましょう。

おすすめのドッグフード

ココグルメ チキン&ベジタブル

ポイント:
子犬、成犬、シニア

「ココグルメ チキン&ベジタブル」は、鶏むね肉やささみをメインに、新鮮な野菜もたっぷりと入った、ココグルメ一番人気のドッグフードです。主な原材料には、低脂質・高たんぱく質で愛犬の食欲をそそる旨味がある鶏むね肉、ビタミンAと鉄分を豊富に含む鶏のレバー、食物繊維やビタミンCなどの栄養源として優秀なサツマイモなどが使われています。

獣医師監修のもと総合栄養食基準で作られており、栄養バランスに優れているのはもちろん、人の食品と同じ基準・設備で作られているため、安全安心なフードです。

アーテミス フレッシュミックス スモールブリードアダルト<小粒タイプ>

ポイント:
成犬

「アーテミス フレッシュミックス スモールブリードアダルト<小粒タイプ>」は、私たち人間が食べても安全なほど厳選された新鮮素材だけを使用しているドッグフードです。時間と手間をかけて行う独自の製造方法で新鮮さにこだわり、抗酸化成分を含む野菜や果物などの素材が持つ栄養成分とおいしさを最大限に活かしています。

愛犬にとって有害な物質は完全に除去され、複数の動物性タンパク質をベストバランスで配合。味覚が敏感な小型犬でも満足できる美味しさです。また、一粒の直径は約8mmで、口の小さな愛犬や、大きな粒が苦手な愛犬でも無理なく食べられる大きさとなっています。

ABOUT ME
葛野 莉奈
麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。
獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。
開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。
皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、得意分野とさせていただいています。
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