病気・ケア

犬を入浴させるおすすめの頻度や入れ方は?必要なグッズや注意点も紹介

執筆者:原 京子
動物看護士、ペットショップでの生態管理、動物園飼育スタッフなどを経験 ...プロフィールをもっと見る

愛犬の健康と清潔さを保つためにも、定期的にお風呂に入れることは重要です。
しかし、犬の皮膚は弱いため、正しい頻度と方法で入浴させなければなりません。
この記事では、犬の入浴頻度や手順・必要なグッズ・注意点について詳しく解説していきます。
お風呂を嫌がる場合の対処方法についてもまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

犬にお風呂は必要?

そもそも、室内犬にお風呂は必要なのか、疑問に思う方もいるでしょう。
犬をお風呂に入れる目的は、主に以下の通りです。

・皮膚トラブルの予防
・汚れや臭いの除去

犬の皮膚は、人間の3分の1程度の薄さしかありません。
その分被毛に覆われてはいますが、皮膚トラブルの多い生き物です。

犬をお風呂に入れることは、汚れや臭いをとる以外にも、皮膚トラブルの予防につながるため、特別な場合を除き(病気やけがなど)お風呂は必要です

お風呂に入れる頻度は?

犬は、人間のように毎日お風呂に入る必要はありません。
犬にとって入浴は、私たちが思う以上に体力を消耗します。
そのため、健康な犬であれば月に1~2回がおすすめです。

ただし、脂漏症など皮膚疾患がある場合は、医師の指導の下、入浴頻度を調節する必要があります。

お風呂の入れ方と注意点

愛犬をお風呂に入れる際には、正しい方法と手順で行う必要があります。
間違った方法で行うと、お風呂を嫌いになったり、皮膚トラブルの原因になったりするおそれがあります。
愛犬をお風呂に入れる手順は以下の通りです。

1.必要なグッズを揃える
2.全身をブラッシングする
3.地肌まで届くようしっかりと濡らす
4.シャンプーをする
5.お湯ですすぐ
6.リンスをする
7.タオルドライをする
8.ドライヤーでしっかりと乾かす

ステップごとにポイントと注意点を見ていきましょう。

1.必要なグッズを揃える

犬はお風呂に入ると、非常に体力を消耗します。
そのため、10分程度の短い時間で行う必要があります。
効率的に入浴させるためにも、事前に以下のようなグッズを用意しておきましょう。

・犬用シャンプー、リンス
・ブラシ類
・ボウル
・必要であれば犬用の浴槽
・タオル
・ドライヤー

犬種や体質に合ったグッズを用意してください。
タオルは、多めに用意しておくことをおすすめします。

犬のシャンプーの種類

犬用シャンプーの種類と目的は、以下の通りです。

・ノーマルシャンプー:普通肌の犬向け
・低刺激シャンプー:子犬、乾燥肌、混合肌向け
・薬用シャンプー:皮膚トラブルを持つ犬向け
・抗菌シャンプー:脂漏症や膿皮症など皮膚病を持つ犬向け
・オーガニックシャンプー:普通肌から乾燥肌、敏感肌まで幅広く使える
・水なしシャンプー:水を使用したシャンプーができない犬向け

2.全身をブラッシングする

お風呂に入る前には、全身をくまなくブラッシングして、毛玉や抜け毛・もつれを事前に取り除きます。
そうすることで、お風呂をより時短にすることが可能です。

3.地肌まで届くようしっかりと濡らす

シャワーや洗面器を使用して、地肌までしっかりお湯で濡らします。
使用するお湯は30~37度が適温で、夏場は少しぬるめにします。

シャワーは離してかけずに、密着させるようにすると嫌がりにくいです。
顔は、無理に濡らす必要はありません。

4.シャンプーをする

基本的に犬のシャンプーは、2回に分けて行います。
1回目は水で薄めたシャンプー液をかけ、全体の汚れを落とします。
2回目は、1回目より濃いめのシャンプー液で、各部位を洗っていきます。
洗う順番は、以下の通りです。

1 .背中
2.胸、お腹、お尻
3.内股、脚、股関節、脚先
4.頭部、おでこ、耳

シャンプーをする際は、目や鼻・耳にシャンプー液が入らないよう注意して行いましょう。
シャンプー液を泡立てる必要はありません。
ゴシゴシ擦るのではなく、毛並みに沿って優しく撫でるように行うのがポイントです。

5.お湯ですすぐ

全身のシャンプー液がしっかり落ちるまで、お湯ですすぎます。
顔は無理に濡らさず、嫌がる場合は湿らせたタオルで拭いてあげましょう。

お腹や内股などすすぎ残しが多い部分も、しっかり確認してシャンプー液を落としましょう。
シャンプー液が残っていると、皮膚トラブルにつながります。

6.リンスをする

リンスをすると、毛玉やもつれができにくくなります。
お風呂を嫌がらない子には、リンスもしてあげましょう。

また、このタイミングで風呂おけに入れてあげても構いません。
リンスをした際は、ぬめりがなくなるまでしっかりすすぐことが大切です。

7.タオルドライをする

すすぎが終わったら、タオルドライをします。
ゴシゴシ擦るのではなく、押し当てながら水気を取るのがコツです。
タオルを何枚か使用して、しっかりと水分を取り除きます。

8.ドライヤーでしっかりと乾かす

タオルで大まかに水気を拭き取ったら、ドライヤーで完全に乾かします。
ドライヤーは二人で行うと、効率的です。
基本温風は使用せず、送風で乾かします。

また、手ぐしではなく、ブラシでとかしながらドライヤーを当てると、地肌まできれいに乾かすことができます。
乾きにくい耳の裏側なども、しっかりと当てましょう。

ドライヤーを嫌がる場合には、犬用に静穏設計されたドライヤーを使用したり、テーブルや椅子に乗せ、リードを短めにつけて動けないようにしたりする方法もあります。

犬がお風呂を嫌がる理由

気持ちよさそうにお風呂に入る子がいる一方で、嫌がって暴れたり、隅の方で震えてしまったりする子も少なくありません。 お風呂を嫌がる理由は、過去にお風呂で嫌な思いをしたトラウマがほとんどです。

たとえば、以下のような経験はトラウマになりやすいといえます。

・シャワーの音が怖い
・お湯が熱すぎた
・身動きが取れない
・鼻や口に水が入った
・長時間のお風呂で息苦しい思いをしたり(高湿度)をした
・疲労が激しかったが激しかった

いきなりお風呂に入れようとすると、上記のようなトラブルのリスクが高まります。
何もわからない状態で、シャワーやシャンプーなどをされ、さらにはお湯が熱い、鼻や口に水が入り窒息しそうになるなど、不快なことが重なれば、トラウマになるのは当然でしょう。

お風呂嫌いを克服させるコツ

愛犬のお風呂は、いきなり行うのではなく、少しずつ慣れさせていく必要があります。
「お風呂は気持ちがいい」「褒めてもらえる」と学習させながら、徐々にステップアップしていきます。
お風呂に慣れさせるためのポイントは、以下の通りです。

・お風呂場に慣れさせる
・最初からシャンプー・リンスをしない
・お風呂は極力短時間で済ませる
・シャワーの温度はしっかりと確認する
・最初から顔や頭に水をかけない
・シャンプーは無香料を選ぶ
・どうしても嫌がる場合はドライシャンプー(水なしシャンプー)を使用する

それぞれ詳しく解説していきます。

お風呂場に慣れさせる

お風呂場は、普段愛犬があまり行かない場所の一つです。
閉鎖的な空間のため、犬はあまり好みません。

まずは、お風呂場に慣れさせましょう。
一緒に遊んだり、おやつを与えたりして、お風呂場は楽しい場所だと学習させます。

その後、蛇口から水を出して水を飲ませたり、足元を濡らしたりしてみましょう。
慣れてきたらシャワーを出して、シャワーの音に慣れさせます。

シャワーの音を怖がる子には、なるべく静穏設計のものや水しぶきが飛び散りにくいシャワーヘッドがおすすめです。

最初からシャンプー・リンスをしない

いきなりお風呂の全工程を実行するのではなく、少しずつ慣らしていきます。
まずは、足先にシャワーをかけることからはじめ、徐々に全身を濡らしていき、慣れたらシャンプーを行いましょう。
その後、必要であればリンスをしたり、風呂おけに入れたりします。

お風呂は極力短時間で済ませる

体をしっかり洗いたい気持ちは分かりますが、閉鎖空間や湿気が多い場所は、犬にとってストレスや疲労の原因となるため、極力短時間で行います。

シャンプーはあらかじめお湯で薄めて全体に馴染みやすくする、必要のない場合はリンスや風呂おけの工程は省くなどの工夫をしましょう。

シャワーの温度はしっかりと確認する

犬に使用するお湯の温度は、30~37度が適切です。
必ず手でシャワーの湯加減を確認してから、愛犬に使用しましょう。

最初から顔に水をかけない

いきなりシャワーを顔にかけると、窒息をしてしまうのではないかと、暴れる子も少なくありません。
このような体験はトラウマとなり、お風呂が嫌いになる原因にもつながります。

足先から徐々に体全体を濡らし、最後に顔を濡らします。
顔にシャワーをかけられることを嫌がる場合は、手やスポンジを使用して洗うとよいでしょう。
濡れたタオルで拭くだけでも構いません。

シャンプーは無香料を選ぶ

犬は嗅覚が非常に優れた生き物です。
また、自分の臭いが消えてしまうことにストレスを感じます。

香りつきのシャンプーは、自分の臭いが消えるだけでなく、ほかの匂いがつくことを嫌がる場合があります。
シャンプーを選ぶ際は「無香料」または「かすかに香る程度」のものに留めましょう。

どうしてもお風呂を嫌がる場合はドライシャンプー(水なしシャンプー)を使用する

どうしてもお風呂を嫌がる場合や、水を使用できない場合は、犬用のドライシャンプーがおすすめです。
ドライシャンプーは、水を使用しなくても、泡やシートで拭き取って汚れを落とせます。
全身に使用できるほか、顔が濡れるのを嫌がる際のポイント使用としても役立ちます。

お風呂が大変な場合はプロに任せる方法もあり

自分でお風呂に入れることが大変な場合は、プロに頼む方法もおすすめです。
サロンではシャンプーのほかに、被毛のカットや肛門腺絞り・爪切りなども行ってもらえます。
多少お金はかかりますが、プロに頼めば技術や設備も充実しているため安心です。

まとめ

・犬のお風呂は皮膚トラブル予防や汚れ、臭いの除去のために必要
・犬のお風呂の頻度は月に1~2回
・お風呂は短時間、正しい手順で行う
・お風呂を嫌がる原因の多くは、過去に嫌な思いをしたから
・お風呂は徐々に慣れさせる必要がある
・お風呂が大変な場合は、サロンなどプロに頼むと安心

愛犬のお風呂は、皮膚トラブルの予防や臭い・汚れを除去するために不可欠です。
しかし、お風呂は多少なりとも疲労やストレスを感じるため、短時間で手際よく行う必要があります。
長毛種の大型犬など、自分では大変だと感じた場合には、無理をせずプロに頼むと安心です。

参考:
【専門家監修:初心者向け】犬のお風呂の入れ方や頻度、湯舟につかったほうがいい?|いぬのきもちWEB MAGAZINE
犬用シャンプーの種類と選び方!何を基準にして決めたらいいの?
犬がお風呂嫌いになる理由!慣れてもらうコツやアイディアをご紹介 | わんちゃんホンポ

ABOUT ME
原 京子
動物看護士、ペットショップでの生態管理、動物園飼育スタッフなどを経験。ペットと飼い主さんが正しい知識で生活できるよう情報を発信している。
保有資格:愛玩動物介護士、愛玩動物救命士、愛玩動物搬送士、ドッグライフカウンセラー
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