執筆者:原 京子
動物看護士、ペットショップでの生態管理、動物園飼育スタッフなどを経験 ...プロフィールをもっと見る
愛犬が、元気に見えるのに粗相をして、困ってしまった経験はありませんか。
普段はきちんとトイレを使えるのに、トイレ以外の場所で排泄してしまう場合は、わざと失敗しているのかもしれません。
犬がわざとトイレを失敗するのには、どのような理由があるのでしょうか。
この記事では、犬がわざとトイレを失敗する理由と対処方法について詳しくまとめました。
犬がわざとトイレを失敗する理由
犬は、わざとトイレを失敗することで、飼い主さんに気持ちを伝えようとしている可能性があります。
犬がわざとトイレを失敗する主な理由は以下の通りです。
- 構ってほしいから
- トイレが不衛生
- トイレの場所が気に入らない
構ってほしいから
「飼い主さんが忙しくて遊んでくれない」「散歩に連れて行ってくれない」など、犬にとって不満があると、わざとトイレを失敗することがあります。
犬は、トイレを失敗したときに、飼い主さんが反応してくれたことを学習しており、失敗すれば構ってもらえるのではないかと考えているのです。
犬は非常に賢く、飼い主さんに構ってもらうことが大好きな生き物のため、このような行動が見られます。
トイレが不衛生
犬は元来、きれい好きな生き物です。
そのため、トイレが汚れてると我慢をしてしまい、結果的にほかの場所で粗相をすることがあります。
トイレを我慢していると、膀胱炎にかかるリスクが高まるため、犬のトイレは常に衛生的に保つことが大切です。
トイレの場所が気に入らない
犬は非常に神経質で、トイレの場所にこだわりがある子が多いです。
そのため犬にとって気に入らない場所にトイレがあると、違う場所でしてしまうことがあります。
犬が嫌がるトイレの場所として、以下が考えられます。
- 寝床の近く
- 人目のつく場所
- 騒がしい場所
犬は排泄をする際、無防備な格好になります。
そのため、安心してトイレができる環境でないと嫌がります。
人の目線がある場所や、騒がしい場所では、安心してトイレをすることができません。
また、マーキング目的で壁に尿(スプレー)をすることもあります。
スプレーの場合には、「去勢や臭いをしっかり消す」「トイレの場所を覚えさせる」「マーキング対策がされたトイレトレーを使用する」などの対策が必要です。
トイレトレーニングが完璧でない場合もある
子犬の場合は、まだトイレトレーニングが完璧にできていない可能性があります。
覚えたと思っていても、たまに失敗してしまうことは珍しくありません。
とくにトイレトレーニングが終わってすぐは、何度かこのような失敗を繰り返すかもしれません。
飼い主さんはトレーニングをおろそかにせず、完璧に覚えるまでは注意して見守りましょう。
わざとトイレを失敗する場合の対処方法
愛犬がわざとトイレを失敗する場合、飼い主さんはどのような対策をすればよいのでしょうか。
ここでは、理由別の対策方法を詳しく紹介します。
構ってほしい場合の対処方法
構ってほしくてトイレを失敗するときは、無視をするのが有効です。
叱ったり、反応したりしてしまうと、愛犬は「構ってもらえた」と勘違いして、さらに粗相がひどくなってしまいます。
愛犬を無視して、粗相の片づけを行いましょう。
また、愛犬とのスキンシップの時間には、愛犬が満足するまでたくさん構ってあげることも忘れてはいけません。
構ってほしくて愛犬が粗相をするのは、わがままの場合と、スキンシップが足りない場合があります。
飼い主さんは、どちらが原因なのか、飼育環境を見直してみてください。
トイレトイレーニングを完璧にする
トイレトレーニングを覚えたての犬が粗相をしてしまった場合は、叱らずにトレーニングをもう一度見直す必要があります。
また、覚えたと思ってトイレの場所を変えたことが原因の可能性もあります。
トイレの場所を変える場合は、少しずつ移動していくことが大切です。
トイレトレーニングを完璧に覚えるのに必要な期間は、個体差があります。
飼い主さんは、焦らずに愛犬のペースに合わせて、根気よくトレーニングを続けましょう。
トイレは衛生的に保ち、場所や環境も見直す
汚れたペットシーツはこまめに取り換え、留守中はペットシーツを多めに敷くなどして、きれいな場所でトイレができるよう衛生的に保つことが大切です。
また、トイレを置く場所や環境にも気を配りましょう。
高齢犬の場合は別途対応が必要
高齢犬の場合は、足腰が弱りトイレに間に合わないことがあります。
そのため、トイレをよくする時間帯に、飼い主さんが誘導してあげる必要があります。
また、認知症のような病気が原因で粗相をするケースも多いです。
病気が疑われる場合は、動物病院でアドバイスをもらいましょう。
症状に頻尿がある病気
成犬であっても、何らかの病気を発症していて、頻尿になりトイレが間に合わないこともあります。
頻尿になりやすい病気は、主に以下の通りです。
- 膀胱炎(ぼうこうえん)
- 尿路結石(にょうろけっせき)
- 膀胱腫瘍(ぼうこうしゅよう)
膀胱炎は、大腸菌などの細菌が尿道を通って膀胱に入り、炎症を起こす病気です。
頻尿のほかに、排尿痛や血尿も見られます。
尿路結石は、尿路に結石ができ、尿路に尿が詰まったり痛みを生じたりします。
偏った食事が原因していることが多く、頻尿・血尿・尿が出にくいといった症状があらわれます。
膀胱腫瘍の多くは、移行上皮癌というがんです。
このがんになると、膀胱の働きが低下し、尿をためられなくなります。
犬に適したトイレ環境とは
犬は、トイレを決められた場所でしたがらないことがあります。
あちこちにマーキングをすることで、それらの場所が自分の縄張りであることを主張しています。
しかし、家中にマーキングをされたのではたまったものではありません。
決められた場所でトイレをしてもらうには、その場所でトイレをしたら褒める・ご褒美をあげるなどして、「この場所でトイレをしたらよいことがある」と学習させるのが大切です。
またマーキング対策として、早めの去勢手術や、ペット用の消臭剤でしっかり臭いを消すといった対策も有効です。
そしてもう一つ大切なのが、トイレ環境です。
犬にとって、トイレの場所は非常に重要であり、適した場所と適さない場所があります。
- 【適した場所】
- プライバシーに配慮されている
- 一定の広さがある
- 寝床と距離がある
- 排泄したいタイミングでトイレに行ける
- 【適さない場所】
- 人目の多い場所
- 音が良くする場所
- 窓際やドアのそば
- 寝床の近く
この条件から、置き場所として適しているのは、リビングや脱衣所です。
トイレを置く際は、上記の条件を参考にして、部屋の隅やデッドスペースを上手く活用してみましょう。
まとめ
- 犬がわざとトイレを失敗するのは、構ってほしい、トイレが不衛生、トイレの場所が気に入らないから
- トイレトイレーニングが完璧ではない場合や、病気の可能性もあるので注意する
- わざとトイレを失敗する場合の対策方法は、原因によって異なる
- トイレを置く場所や環境も大切
私たちと同じ屋根の下で生活するうえで、愛犬に決められた場所でトイレをしてもらうのは、とても重要です。
わざとトイレを失敗するのには、愛犬ならではの理由があり、飼い主さんへのサインでもあります。
愛犬がわざとトイレを失敗しても、ただ叱るのではなく、原因を突き止め、正しい方法で対処しましょう。
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