病気・ケア

【獣医師執筆】犬にオクラを与えても大丈夫?主な栄養素と与えてよい量・注意点を解説

執筆者:平松 育子
獣医師・ペットライター山口大学農学部獣医学科卒業山口県内の複数の動物 ...プロフィールをもっと見る

夏野菜として有名なオクラ。オクラは栄養豊富なため、わんちゃんにもあげたいと考える飼い主さまは多いのではないでしょうか。

オクラは犬が食べてもよい食材ですが、与え方には注意が必要です。本記事では、オクラの栄養素や犬に与えてよい部位、与える量などを解説します。

オクラの栄養素

オクラは栄養豊富な野菜です。まずは、どのような栄養素が含まれているのかをみていきましょう。

食物繊維

オクラのネバネバは、食物繊維のぬめり成分がもとになっています。ネバネバの正体は、ペクチンとムチンと呼ばれる食物繊維です。

ペクチンは水溶性の食物繊維で、腸内環境を整える働きがあります。便秘や下痢といった消化器症状の改善が期待できます。

また、ムチンは胃粘膜の保護や整腸作用、血圧を下げる作用がある食物繊維です。

食物繊維は便の材料となり、便秘の解消に役立つだけではなく、腸内で善玉菌の餌となって腸内環境を整えてくれます

腸内環境を整えることで、感染症の予防につながるほか、発がん性をもつ腐敗物質が作られるのを防ぐ効果も期待できます。

ビタミン

オクラに含まれているビタミンで代表的なのはβカロテンです。βカロテンには、ガン予防、免疫力アップ、抗酸化作用、粘膜や皮膚の健康維持などの働きがあります。

ミネラル

オクラはカリウムやカルシウムなどのミネラルも豊富です。

カリウム

オクラはカリウム補充に適した野菜です。

カリウムが不足すると低カリウム血症を引き起こし、症状が重くなると痙攣が起こる場合があります。

ただし、腎臓や心臓が悪い場合はカリウムの量に注意が必要です。必ずかかりつけの獣医師と相談したうえであげるようにしてください。

カルシウム

オクラにはカルシウムが豊富に含まれ、その量は牛乳に匹敵します。カルシウムは体内で骨を構成したり、筋肉の収縮や弛緩を行ったりするのに必要なミネラルです。

カルシウム不足により低カルシウム血症になると、立てなくなったり、痙攣をおこしたりするおそれがあり、意識を失うこともあります。

カルシウムが豊富なオクラは、わんちゃんに積極的に食べてもらい野菜です。

葉酸

葉酸はビタミンB9とも呼ばれ、神経組織の発達や造血作用にも関与しています。葉酸不足は貧血を引き起こす原因となります。

オクラには大根の3.3倍、人参の4.8倍の葉酸が含まれています。

水分

オクラに含まれる水分量は90%で、水分補給に最適です。夏の暑さ対策に最適な野菜ともいえるでしょう。

水分だけではなく食物繊維も多く含まれるため、便秘気味のわんちゃんにもおすすめです。

オクラの食べてもよい部位・注意すべき部位

オクラはわんちゃんが食べても大丈夫な栄養豊富な野菜です。しかし、危険な部位もあるため与え方には注意が必要です。オクラの部位別に、与える際のポイントを解説します。

オクラの実

オクラの実の部分は食べても問題ありません。私たちもよく食べる部分で、ヘタや種以外の部位をいいます。

オクラの実には産毛がたくさん生えているため、産毛を除去してから与えるとが食べやすいでしょう。

生でも小さく切れば食べられますが、火を通したほうが消化に良いため、加熱することをおすすめします。

オクラの種も与えて問題はありません。しかし、種は消化されにくいため、小さく刻んで与えるようにしましょう。種を取る場合は、スプーンなどでこそいで取り除いてください。

火を通すと柔らかくなるため、調理の際に工夫してあげましょう。

ヘタ

オクラのヘタの部分は硬いため、消化が悪く、胃腸に負担がかかります。

生のまま与える場合は、わんちゃんに与える前にヘタを取り除きましょう。

【犬の体重別】オクラを与えてよい量

では、1日にどのくらいの量であればオクラをあげても大丈夫なのでしょうか。わんちゃんの体格別に、おおよその量を確認していきましょう。

ただし、個体差があるため、以下で紹介する上限量以下であっても、下痢や嘔吐の原因となることがあります。あくまでも目安の量として参考にしてください。

また、初めて食べるときは、ごく少量から始めることが大切です。

体重オクラの適切な量
超小型犬(体重3㎏)オクラ1本が上限
小型犬(体重5㎏)オクラ2本が上限
中型犬(体重10㎏)オクラ3本が上限
大型犬(体重が30㎏)オクラ4本が上限
超大型犬(体重が50㎏)オクラ6本が上限

オクラを食べるときの注意点

わんちゃんにオクラをあげるときの注意点をまとめました。調理方法を工夫するほか、体調の変化がないかを注意深く観察してあげましょう。

細かく刻む

先述したとおり、生のオクラ硬くて消化が悪いため、できるだけ細かく刻んでからあげるようにしましょう。「このくらいの大きさなら大丈夫」と思っても、慌てて丸呑みしてしまうと危険です。

オクラは星のような形をしているため、向きによっては喉や食道に詰まる危険性があります。

また、オクラは食物繊維を多く含んでいるため消化が悪く、大きいまま食べると下痢や嘔吐を引き起こしかねません。

加熱して柔らかくする

生のオクラは、固く消化が悪いだけではなく、えぐみがあるため嗜好性が悪くなります。そのため、できれば加熱し、柔らかくしてからあげてください。

ただし、オクラを茹でてしまうとビタミンが流れ出てしまいます。電子レンジで加熱する方法であれば、ビタミンが壊れにくいためおすすめです。

アレルギーに注意

わんちゃんにオクラを与える際には、食物アレルギーに注意しましょう。とくに、初めて食べる場合は少量にして、嘔吐や下痢、痒みなどが起こらないかを確認してください。

オクラによってアレルギーが起こることは稀ですが、ないとは言い切れません。たとえば、オクラを食べたあと、口に違和感を覚える場合は口腔アレルギーが疑われます。

オクラアレルギーの症状は口腔、消化器系、皮膚などで確認されます。以下のような症状があらわれたら与えるのを中止し、すみやかに受診してください。

  • 口腔:イガイガした違和感、唇の腫れなど
  • 消化管:嘔吐、下痢など
  • 皮膚:痒み、発赤、蕁麻疹など

嘔吐や下痢に注意

オクラは食物繊維を多量に含んでいます。オクラ100gには食物繊維が5g含まれており、にんじんの約2倍、レタスの約4倍です。

食物繊維は便秘の改善に役立つ一方、消化が悪いため嘔吐や下痢、便秘の原因となる場合があります。

個体差があるため、適量を見つけることが大切です。

オクラを食べてはいけないケース

栄養豊富なオクラは食べ方さえ気をつければ、健康に良い野菜といえます。しかし、与えないほうがよいケースもあるため確認しておきましょう。

子犬

子犬は消化器官の発達が未熟で、繊維分が多すぎると消化不良からお腹の調子を崩してしまうため、できればオクラは与えないほうがよいでしょう。

また、オクラはムチンが多く含まれていてネバネバしており、慌てて食べると噛まずに丸呑みしてしまう可能性があります。

大きなサイズのオクラを丸呑みすると、食道に詰まってしまい危険です。

老犬

高齢になると、心疾患や腎不全を患っていることがあります。

オクラはミネラルが豊富な野菜のため、カリウムなどのミネラル量の影響を受けやすい病気を患っている場合は控えましょう。

健康に良いと思ってあげてしまうと、病状が悪化するおそれがあります。あげてもよいか迷ったときには、必ずかかりつけの獣医師に相談してください。

病気治療中

病気の治療中、とくに療法食を食べている場合、オクラをあげる前に必ず獣医師に相談しましょう。病気によってはあげてよいもの、あげてはいけないものがあります。

獣医師に確認し、あげても大丈夫との判断があれば、調理方法や量に注意しながら食事に取り入れて問題ありません。

【まとめ】犬はオクラを食べても大丈夫!調理方法や部位には注意しよう

夏野菜であるオクラを犬に与えるときの注意点や適切な量を紹介しました。オクラは食物繊維・ビタミン・ミネラルが豊富です。私たちの食卓にもよくあがる野菜で、手に入れやすい点も魅力といえます。

ただし、与える部位や調理方法には注意が必要です。今回紹介したポイントを押さえて、栄養豊富なオクラをわんちゃんのごはんに取り入れてみてください。

ABOUT ME
平松 育子
獣医師・ペットライター
山口大学農学部獣医学科卒業
山口県内の複数の動物病院で代診を務めたのち、2006年に動物病院を開業。
ペット関連のウェブライターとして、多数のメディアの記事執筆、監修を行う。
2023年6月 ペット専門の記事作成会社「アイビー・ペットライティング」設立。代表を務める。
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