病気・ケア

【獣医師執筆】犬にサプリメントは必要?主な種類や与える際の注意点を解説

執筆者:岡田 京子
北里大学 獣医畜産学部 獣医学科2008年卒業。金沢医科大学 大学院 ...プロフィールをもっと見る

愛犬の健康維持や症状の緩和、不足しがちな栄養素の補給などに欠かせないサプリメント。「たくさんありすぎて選べない!」という声をよく耳にします。

そこで今回は、愛犬のためのサプリメントの選び方や注意すべきポイントについて解説していきます。

サプリメントの定義と役割

一般的に動物用サプリメントは「動物に与える医薬品以外のもので、健康の維持増進のために利用されるもの」と定義されています。

つまり、サプリメントは薬ではなく、あくまでも健康をサポートする補助食品です。

サプリメントの種類

サプリメントは、大きく以下の3つに分類されます。

  • ベースサプリメント:日常の食事で不足しがちな栄養素を補給するもの
  • ヘルスサプリメント:全体的な健康維持を目的とするもの
  • オプショナルサプリメント:特定の症状や状態をサポートするもの

これらのサプリメントは、ビタミン、ミネラル、アミノ酸といった特定の成分を含み、体内の酸化を抑える抗酸化作用や免疫力向上などの効果が期待できます。

天然の抗炎症作用をもつものや、口腔内ケア、整腸作用があるものまで種類はさまざまです。

犬にサプリメントは必要?

サプリメントが必要かどうかは、健康状態や年齢、ライフステージによって異なります。

若くて健康な子の場合、バランスの取れた食事で十分な栄養を摂取できていれば、サプリメントは必須ではありません。

一方で、以下のような状況になったときは、サプリメントの使用を検討してみるとよいでしょう。

  • 高齢:加齢に伴うさまざまな体調の変化をサポートするため
  • 特定の健康問題を抱えている:関節炎、皮膚問題、消化器系の問題など
  • 栄養不足が懸念される:食欲不振やエネルギー吸収力の低下など
  • 予防的な健康管理:免疫力向上や全体的な健康維持を目的とする場合

とくに、高齢犬にはサプリメントの使用をおすすめするケースが多いです。高齢になると、以下の症状があらわれることがあり、サプリメントで予防や緩和の効果が期待できます。

  • 認知症
  • 関節炎
  • 皮膚や被毛の状態悪化
  • 消化不良や食欲不振

また、免疫力向上や栄養補給を目的としたサプリメントの摂取も有効です。

犬の平均寿命は14歳といわれており、高齢になるにつれてさまざまな病気にかかりやすくなります。サプリメントを適切に使用することで、長く健康に過ごせる可能性があるでしょう。

サプリメントを与える際の注意点7つ

ここでは、サプリメントを愛犬に与える前に注意すべきポイントを紹介します。正しい方法でサプリメントを活用し、愛犬の健康を維持しましょう。

必ず犬用のサプリメントを使用する

人用のサプリメントには、有害な成分が含まれている危険性があります。たとえ主成分が同じでも、必ず犬用のものを選びましょう。

獣医師に相談する

愛犬の健康状態に合わせて、適切なサプリメントを選ぶことが重要です。とくに、今飲んでいるお薬がある場合は、サプリメントとの飲み合わせで症状が悪化したり、効果が薄れたりすることもあるため、必ず獣医師に相談してから使用を開始しましょう。

摂取しやすい形状を選ぶ

超小型犬や高齢犬場合、食事自体が困難になることがあります。愛犬に負担をかけないためにも、固形、粉状、液体など、無理なく摂取できる形状のサプリメントを選んでください。

過剰摂取に注意する

サプリメントは補助食品であり、過剰摂取は逆効果となるおそれがあります。適切な量を守り、定期的に獣医師のチェックを受けることをおすすめします。

効果を過大評価しない

サプリメントは医薬品ではないため、劇的な効果は期待できません。健康維持や症状の緩和をサポートするものとして位置づけましょう。

表示を確認する

法律上、動物用サプリメントの広告やサイトで、特定の状態を改善するような表現はできません。

「〇〇に効く」「〇〇病の予防」などの過剰な表現があるサプリメントは、法律違反の可能性があるため注意が必要です。

アレルギーに注意する

アレルギーを持っている子の場合は、サプリメントにアレルゲンとなる成分が含まれていないかの確認が必要です。

サプリメントの正しい与え方

愛犬にサプリメントを与えるときは、以下の方法を守りましょう。

指示どおりの量を守る

過剰摂取を避けるため、パッケージや獣医師の指示に従った適切な量を与えてください。

継続的に与える

効果を実感するためには、2~3か月の期間は継続して与えることが重要です。短期間では効果が見られないことあります。

愛犬の好みに合わせる

サプリメントのなかには嗜好性の高いものもありますが、愛犬が食べたがらない場合は、ヨーグルトやバニラアイスなどの好きな食べ物と一緒に与えるのもおすすめです。

ただし、食べ合わせによっては健康に影響を及ぼすおそれがあるため、判断が難しい場合は獣医師の指示を仰ぎましょう。

まとめ

サプリメントは、適切に使用すれば健康維持に役立ちます。とくに高齢犬や特定の健康問題を抱えている子には有効です。

しかし、サプリメントはあくまでも補助食品であることを忘れてはいけません。バランスの取れた食事や適切な運動、定期的な獣医師のチェックなど、総合的な健康管理の一部として考えましょう。

サプリメントの使用を検討する際は、必ず獣医師に相談し、愛犬の状況に合わせた適切なアドバイスを受けるようにしてください。そして、効果や副作用を注意深く観察し、獣医師と相談しながら、健康管理に活用していくことをおすすめします。

愛犬の健康と幸せな生活のために、サプリメントを含む総合的な健康管理に取り組んでいきましょう。

ABOUT ME
岡田 京子
北里大学 獣医畜産学部 獣医学科2008年卒業。金沢医科大学 大学院医学研究科にて医学博士号取得。
往診専門動物病院獣医師として活動し、2021年に石川県初の往診専門動物病院である「るる動物病院」を開業しました。
オンライン診療や相談に積極的に取り組む傍ら、地域猫に対しての活動も行っています。
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