執筆者:岡田 京子
北里大学 獣医畜産学部 獣医学科2008年卒業。金沢医科大学 大学院 ...プロフィールをもっと見る
小さな体と愛くるしい表情で人気のチワワ。一方、チワワはアゴや胃が小さいため、ドッグフード選びには注意が必要です。体に負担がかからないよう、大きさや成分をしっかりと確認する必要があります。
本記事では、チワワに必要な栄養素やドッグフードの選び方、与えるときの注意点について詳しく解説します。栄養価が高く安心して与えられるおすすめのドッグフードも紹介しますので、チワワのフード選びで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
犬に必要な栄養素
摂取カロリーについては気にされている飼い主さまが多いですが、「必要な栄養素まではわからない」という声をよく耳にします。
犬に必要な栄養素は、5大栄養素といわれる「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」「ビタミン」「ミネラル」に水を足した6大栄養素です。
それぞれの栄養素の特徴や重要性について詳しく見ていきましょう。
炭水化物
炭水化物は、体を動かすエネルギー源となる栄養素で、消化されブドウ糖となって利用されます。
また、炭水化物に含まれる食物繊維(セルロース)には、消化されずに腸内環境を整える働きがあります。
脂質
脂質はエネルギー源となるほか、体を作る細胞一つひとつの細胞膜の形成や、ホルモンの合成にも必要となる重要な栄養素です。脂質の不足は、発育障害や免疫食の低下、貧血、毛並みの荒れなどの原因となります。
逆に、脂質を過剰に摂取すると、肥満や下痢、血液のドロドロ、内臓疾患を引き起こすおそれがあるため注意が必要です。
たんぱく質
たんぱく質は、骨格と形成する筋肉、皮膚、被毛、臓器などの形成や修復に必要な栄養素です。
たんぱく質はアミノ酸で構成されており、体内で合成できないため食事から摂取する必要があります。
ビタミン
ビタミンは、代謝や免疫機能に必要な栄養素です。ビタミンA、B1、B2、Dは体内で作ることができないため食事で摂取する必要があります。
ミネラル
ミネラルとは、カルシウムやリン、カリウム、ナトリウム、マグネシウムなどをいいます。全部で12種類のミネラルが必要といわれており、相互に作用して働くため必要量を過不足なく与えることが重要です。
ミネラルが不足すると下痢や嘔吐、食欲不振や貧血、脱毛などを招くおそれがあるため注意しましょう。過剰摂取の場合も下痢や嘔吐の原因となるほか、心停止につながる危険性もあります。
水
人にとっても欠かせないヒトでも重要な水は、犬の体の中で約60~70%を占める重要な成分。消化・吸収、代謝、排泄など、あらゆる働きを促すために必要不可欠な存在です。
犬の必須栄養素は、犬種や年齢、ライフステージ、活動量などによって必要量が異なります。これらの栄養素をバランス良く摂取することで、健康で元気に過ごせるでしょう。
ただし、健康な犬の場合は「総合栄養食」を与えていれば、不足や過剰になる心配はほとんどないため、あまり神経質になる必要はありません。
チワワに適したドッグフードの量と回数
ごはんの量は、ライフステージや体重、各フードのカロリーや形状によって異なります。
1歳以上の成犬チワワでドライフードのみを与える場合、1日に50~100g程度が適切といわれています。既製品であれば1日の摂取量の目安が記載されているため、まず記載どおりに与えてみて、体重や体調の変化に注意しながら増やしたり減らしたりしてあげましょう。
回数は、1日に必要な摂取量を2~3回に分けて与えるのが一般的です。しかし、一度にたくさん食べられない子や、次のごはんまでの間に空腹に耐えられない子は回数を増やしてOKです。愛犬の体調にあわせて回数も調節してあげてください。
ドライフードとウェットフードどちらがよい?
ドッグフードには、ドライフードとウェットフードの2種類があります。両者の大きな違いは水分の含有量です。ドライフードは水分が約10%以下、ウェットフードは約75%となっています。
ドライフードは開封後日持ちがするものが多く、与えやすい特徴があります。また、顎を使ってかみ砕くことで脳への刺激になることや、歯石が付きにくいこともメリットです。
ドライフードを与える場合、アゴが小さいチワワには超小粒〜小粒タイプをおすすめします。粒が大きすぎると、かみ砕けずに丸飲みしてしまい喉に詰まるおそれがあります。
ウェットフードは、水分を多く含み嗜好性が良い点が特徴です。しかし、開封後すぐに使い切る必要があることや、コストがかかること、歯石が付きやすいなどのデメリットがあります。
その子の好みに合わせて栄養価を踏まえつつ、食べやすく食いつきの良いタイプを選んであげれば問題ありません。
ただし、2~3カ月までは内臓が未発達で顎の力も弱いため、ウェットフードか、水でふやかしたドライフードを人肌にあたためて与えましょう。
生後3~4カ月くらいから、ふやかす時間を短くする、ふやかす水分量を少なくするなどして、1週間~10日程度かけて少しずつドライフードに切り替えていきます。
チワワは超小型犬で胃腸も小さく、食べたもののメリットとデメリットを非常に受けやすいデリケートな犬種です。そのため、移行期間中は嘔吐や下痢、消化不良などがないかをチェックしてあげましょう。万が一体調の変化が見られたら、元のフードに戻すことも必要です。
チワワに適したドッグフード選びのポイント
チワワのドッグフードを選ぶときには、以下5つのポイントを押さえておきましょう。
- 高たんぱく質・低炭水化物
- 合成添加物が使われてないもの
- 腸内環境を整える成分
- 皮膚や関節をサポートする成分
- アレルゲンが含まれていないもの
それぞれ詳しく解説します。
高たんぱく質・低炭水化物
超小型犬に分類されるチワワは体格が小さく、運動量が少ない子が多いため、高たんぱく質・低炭水化物のドッグフードを与えるのがおすすめです。
原材料名は、含有量の多い順に明記されています。原材料が明記されていない、もしくはわかりにくいフードは避けたほうがよいでしょう。
また「鶏肉」「ラム肉」「サーモン」など、肉や魚の名称が具体的に記載されているものを選んでください。
「ミートミール」「家禽ミート」「肉副産物」といった表示のものは、何の肉を使っているかがわからないため控えるのが安心です。
合成添加物が使われてないもの
原材料を確認するときは、素材だけではなく添加物にも注意する必要があります。着色料や保存料、香料などの合成添加物が含まれているフードはできるだけ避けましょう。
嗜好性を高めたり、長持ちさせるために、さまざまな合成添加物を使用しているフードもあります。しかし、合成添加物の摂取によって胃腸に負担がかかったり、体調を崩してしまったりするおそれがあります。
ラベルに記載されている成分表示をよく見て、安心して与えられるドッグフードを選んであげてください。
腸内環境を整える成分
体の免疫機能の約60%は腸にあるといわれています。おなかの調子を整え、強い体づくりをするめためには日頃からのケアが欠かせません。
善玉菌をとりいれるプレバイオティクスとして「乳酸菌入り」のフードを選ぶ、善玉菌を育てるプロバイオティクスとして「オリゴ糖入り」のフードを選ぶことも検討してみましょう。
骨や関節・皮膚をサポートする成分
体格が小さなチワワは手足が細いため、骨折や脱臼が起こりやすい犬種です。とくに、お散歩に坂道や階段の上り下りなどを取り入れていないと筋肉量が落ち、加齢とともに骨や関節が弱くなり負担がかかりやすくなります。
骨や関節を強くするためには「コンドロイチン」や「グルコサミン」などが含まれているフードがおすすめです。
また、皮膚は毛づやをきれいに保つためには「オメガ3脂肪酸」と「オメガ6脂肪酸」の適量摂取が有効だといわれています。これらは総合栄養食の基準には含まれていないため、サプリメントで補給することも選択肢の一つです。
アレルゲンが含まれていないもの
犬にもアレルギーを持つ子はいます。鶏肉、豚肉、牛肉、小麦などさまざまなものに反応してしまう子は、アレルゲンが含まれていないドッグフードを選びましょう。
チワワに与えてはいけないもの
チワワに限らず、一般的に犬に与えてはいけない食べ物は以下のとおりです。
- ネギ類
- チョコレート
- アルコール類
ほかにもたくさんありますが、チワワは体が小さく少量の摂取でも命に関わる危険性を伴います。
ご自宅でも外出時でも、飼い主さんが目を離したすきに誤って食べてしまわないよう、愛犬の届くところには置かないようにしましょう。
【まとめ】チワワの年齢や体調に合わせてドッグフードを選びましょう
本記事では、チワワに適したドッグフードの選び方や必要な栄養素、おすすめのフードを紹介しました。超小型犬であるチワワは、食べるものの影響を大きく受けます。
そのため、ドッグフードを選ぶ際には、体に負担がかかる成分が含まれていないか、原材料をしっかりと確認することが大切です。
体格やライフステージに合わせてフードの種類や与え方を変えていき、愛犬の健康を保ちましょう。もし丸一日以上まったくフードを食べない、嘔吐や下痢が続く、元気がなくぐったりしているなどの様子が見られたら、早急に動物病院を受診してください。
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